クリーニング業界におけるM&Aとは?動向から事例・メリットまで徹底解説!

クリーニング業界において、M&Aが活発化しています。M&Aを行うことで、売却利益を獲得したり、事業設備を獲得できたりするメリットが存在します。M&Aを活用してクリーニング業界での事業成長を図るために、まずはM&Aの概要について理解を深めましょう。

目次

  1. クリーニング業界のM&Aの動向と課題
  2. クリーニング業界のM&Aの手法
  3. クリーニング業界のM&Aのメリット・デメリット
  4. クリーニング業界のM&Aの価格相場
  5. クリーニング業界のM&A・売却・買収事例
  6. クリーニング業界でM&Aを成功させるポイント
  7. クリーニング業界でM&Aを行う際の留意点
  8. クリーニング業界のM&Aは専門家へご相談を!

クリーニング業界のM&Aの動向と課題

クリーニング業界のM&Aの動向と課題を解説します。

まずは自社の業界の動向・課題への理解を深め、どのようにM&Aが活用できるかを検討してみましょう。

クリーニング業界の特色とは?

クリーニング業界とは、顧客から預かった衣類を洗剤・溶剤を使用して洗濯したものを返却する事業・サービスを指します。

クリーニング業界は、以下の4つの業態が存在します。

  • クリーニング取次所
  • 一般クリーニング所
  • リネンサプライ
  • ホールセール

そして、クリーニング事業は以下の4つの事業に分別されています。

  • 営業部門
  • 集配部門
  • 取次店
  • 洗濯工場

クリーニング業界のM&Aの現状と動向

クリーニング業界の市場規模が縮小傾向にあることが、大きな課題の1つです。

1世帯当たりの洗濯代を年代別で確認すると、2014年には1世帯当たり約6,000円だったものが、2021年では約3,600円と、ほぼ半分までに減少しています。

平成10年以降、クリーニング施設の減少といった動向も見られています。しかし、近年では新型コロナウイルスの世界的な流行に伴って需要回復が見込める可能性があるでしょう。

クリーニング業界の今後の課題

先述したクリーニング業界の課題・動向からいえることは、変わりゆく情勢に対応できるよう、クリーニング業界のビジネスモデルを変化し続ける必要があるということです。

近年では、テレワークの増加により以前よりスーツを着用する方が減少している動向も見られており、それが従来のクリーニング業界の市場縮小の原因にもなっています。

24時間利用できるクリーニングシステムを導入したり、クリーニング事業のコスト削減を図ったりするなど、新しい取り組みや工夫が必要になってきます。

クリーニング業界のM&Aの手法

クリーニング業界のM&Aのスキーム(手法)には、どのようなものがあるのでしょうか。今回は、6つのスキームの概要を解説します。

  • 株式譲渡
  • 株式交換
  • 合併
  • 事業譲渡
  • 事業分割
  • 会社分割

通常、M&Aは専門家に相談したりサポートを受けたりしながら進めていくものです。M&Aスキームを選択する際には、自社が求める要素はどのようなものかを検討しなければなりません。

株式譲渡

株式譲渡とは、その名の通り売却側の株主が保有する株式を相手に譲渡するスキームです。

買い手企業は株式な対し現金を支払うことで、株式譲渡が完了となります。株式譲渡は、手続きの簡便さからさまざまな企業のM&Aで用いられています。

株式交換

株式交換とは、特定の会社から発行済み株式をすべて取得し、対価として自社の発行済み株式を譲渡するM&Aスキームです。特定の会社を子会社化する際に使用されます。

合併

合併とは、複数の会社が1つの会社に統合されるM&Aスキームです。

合併の中には、1つの会社にすべての企業が統合される「吸収合併」と、すべての会社を消滅させて新たな会社を設立する「新設合併」の2種類があります。

事業譲渡

事業譲渡とは、その名の通り売り手企業の事業のすべてもしくは一部を、相手に譲渡するM&Aスキームです。売り手企業は、対価として現金(売却利益)を獲得します。

事業承継

事業承継とは、個人または法人が売り手企業を買収することです。

買収によって会社の経営者が変わります。後継者問題の抱えている売り手企業にとっては、非常に有効なM&Aスキームとなります。

会社分割

会社分割とは、事業を切り離して別の会社に譲渡するM&Aスキームを指します。

事業譲渡とニュアンスが似ていますが、会社分割は対価として株式交付を行う特徴があるでしょう。主にグループ企業の再編の目的で実施されるスキームとなります。

クリーニング業界のM&Aのメリット・デメリット

クリーニング業界のM&Aのメリット・デメリットを解説します。

M&Aはさまざまなメリットをもたらす、効果的な経営戦略の方法です。M&Aを検討する際は、まずはM&Aのメリット・デメリットを把握して、M&Aを実施した際の会社の動向を検討してみるとよいでしょう。M&Aのメリットをさらに深堀したい場合は、M&Aの専門家に相談しましょう。

メリット

売り手側

以下の表に、売り手企業のM&Aのメリットをまとめました。

メリット

内容

後継者問題の解決

・M&Aでは新たな後継者を見つけることが可能

→クリーニング業を問わず、さまざまな企業で抱えている後継者問題を解決できる

→引き続き会社を存続させることが可能

従業員の雇用確保

・後継者問題や経営難で従業員の雇用に問題がある場合、M&Aで解決が可能

→大手傘下に入ることで、グループ内で統一の雇用形態になる可能性がある

売却利益の獲得

・事業・会社を売却した際に売却利益が獲得できる

→経営者引退後の生活資金、新事業展開の資金として活用可能

ブランド力の獲得

・大手傘下に入ることで、そのブランド力が自社に付随する

→ブランド力を生かして求職者を募集したり、新たな顧客獲得したりするきっかけとなる

債務からの脱却

・M&Aスキームによっては、経営者の債務を承継してくれる

→会社経営によって降りかかっていた債務を解消できる可能性がある

買い手側

以下の表に、買い手側のM&Aのメリットをまとめました。

メリット

内容

従業員の確保

・M&Aでは、人材の確保が可能

→人手不足解消や、後継者探しのきっかけとなる

技術・ノウハウの獲得

・事業を買収することで、その技術・ノウハウを承継できる

→自社の既存事業とか掛け合わせることで、シナジー効果に期待できる

事業規模の拡大

・M&Aで売却企業の事業エリア・設備などを獲得できる

→新たな顧客獲得やコスト削減が図れ、事業規模の拡大につながる

デメリット

売り手側

以下の表は、売り手企側のM&Aのデメリットをまとめたものです。

デメリット

内容

必ず売却できるわけではない

・タイミングや事業内容、規模によっては売却できない可能性がある

→タイミングを見据えた準備・動向や、企業価値の向上を行う必要がある

従業員・顧客との関係悪化の可能性

・M&Aで大手傘下に入ることで、グループ内で統一の雇用形態や契約金額となる

→従来よりも雇用形態が悪化、契約金額が上昇すると関係先や従業員が離れていくリスクがある

→関係先との事前の調整が必要

買い手側

以下の表は、買い手企側のM&Aのデメリットをまとめたものです。

デメリット

内容

コストだけかかる可能性がある

・M&Aでシナジー効果をもたらさない企業を買収する可能性がある

→維持・管理コストだけがかかり、利益が生み出せない可能性がある

リスクを承継する可能性がある

・売却企業の簿外債務・社内トラブルを承継する可能性がある

→デューデリジェンスで入念な社内調査を実施する必要がある

クリーニング業界のM&Aの価格相場

クリーニング業界のM&A相場の考え方を解説します。

相場・企業価値算出は、M&Aの専門家に相談しながら求めることが一般的です。

買収相場

売却相場でも同じことがいえますが、M&A相場を一概に把握することは困難です。

理由としては、売却企業の規模・資本・事業内容や、買い手側の資本はすべて異なるためです。どうしても買収したい会社がある場合は、出資を惜しまないことが賢明です。

自社が欲しいと思う会社は、他社も同じように欲しいと思っている可能性があります。売却企業は、取引価格が高い交渉相手を選ぶ可能性があるためです。

売却相場

先述した買収相場と同様、売却相場を一概に把握することは困難です。

しかし、売却価値は、以下の3種類の算出方法を用いて計算できます。通常、M&Aの専門家に相談をして算出してもらうため、今回は、算出方法の概要を紹介します。

  • コストアプローチ:企業の純資産ベースで企業価値を算出する方法
  • インカムアプローチ:将来的に予測される収益ベースで企業価値を算出する方法
  • マーケットアプローチ:市場における価値ベースで企業価値を算出する方法

上記で計算した企業価値と、ある程度の相場(類似・同規模企業のM&A事例の取引価格)を比較して、最終的な適正取引価格を算出します。

クリーニング業界のM&A・売却・買収事例

クリーニング業界のM&Aの事例を解説します。

白洋舎×日本インテリアサプライ

最初に紹介する事例は、白洋舎×日本インテリアサプライのM&A事例です。

  • 買い手:白洋舎 事業内容:クリーニング・クリニック・病院清掃・店舗・レストランクリーングなど
  • 売り手:日本インテリアサプライ 事業内容:横浜エリアのリネンサプライ事業
  • 目的:コロナ禍による収益減少の対策。日本インテリアサプライを吸収合併することで、収益回復を図る。

白洋舎×北海道リネンサプライ

2つ目に紹介する事例は、白洋舎×北海道リネンサプライのM&A事例です。

  • 買い手:白洋舎 事業内容:クリーニング・クリニック・病院清掃・店舗・レストランクリーングなど
  • 売り手:北海道リネンサプライ 事業内容:北海道をはじめとしたホテル・新幹線のリネンサプライ事業
  • 目的:コロナ禍による収益減少の対策。収益回復を図る。

きょくとう×二葉

3つ目に紹介する事例は、きょくとう×二葉のM&A事例です。

  • 買い手:きょくとう 事業内容:クリーニング事業
  • 売り手:二葉 事業内容:クリーニング店舗の運営事業
  • 目的:関東地区におけるクリーニング事業の効率化と営業基盤の強化

きょくとう×清洗舎

4つ目に紹介する事例は、きょくとう×清洗舎のM&A事例です。

  • 買い手:きょくとう 事業内容:クリーニング事業
  • 売り手:清洗舎 事業内容:首都圏のクリーニング事業
  • 目的:きょくとうの関東エリアの営業基盤強化

トランコム×Sergent Services Pte Ltd

5つ目に紹介する事例は、トランコム×Sergent Services Pte LtdのM&A事例です。

  • 買い手:トランコム 事業内容:幹線トラック便の求貨求車マッチング事業、製造領域での人材派遣事業
  • 売り手:Sergent Services Pte Ltd 事業内容:シンガポールの学校・地下鉄・商業用施設のクリーニング事業
  • 目的:アセアン諸国への事業展開・海外市場での成長戦略

ロイヤルネットワーク×ほくしん

6つ目に紹介する事例は、ロイヤルネットワーク×ほくしんのM&A事例です。

  • 買い手:ロイヤルネットワーク 事業内容:「うさちゃんクリーニング」を展開するクリーニング事業
  • 売り手:ほくしん 事業内容:東京・神奈川のクリーニング事業
  • 目的:「うさちゃんクリーニング」の展開、府中市での稼働

白洋舎×トーカイ

7つ目に紹介する事例は、白洋舎×トーカイのM&A事例です。

  • 買い手:トーカイ 事業内容:病院寝具・白衣等のレンタル・リネンサプライ
  • 売り手:白洋舎 事業内容:クリーニング・クリニック・病院清掃・店舗・レストランクリーングなど
  • 目的:双方の事業の継続的な成長・従業員利益の確保

ヤマシタ×日商リネンサプライ

8つ目に紹介する事例は、ヤマシタ×日商リネンサプライのM&A事例です。

  • 買い手:ヤマシタ 事業内容:福祉用具レンタル・販売事業
  • 売り手:日商リネンサプライ 事業内容:リネンサプライ事業
  • 目的:日商リネンサプライを吸収合併することによる事業の効率化

きょくとう×神戸ホープ

9つ目に紹介する事例は、きょくとう×神戸ホープのM&A事例です。

  • 買い手:きょくとう 事業内容:関東地区でのクリーニング事業
  • 売り手:神戸ホープ 事業内容:神戸市のクリーニング事業
  • 目的:エリア内の安定した事業運営

トーカイ×松屋リネンサプライ

10個目に紹介する事例は、トーカイ×松屋リネンサプライのM&A事例です。

  • 買い手:トーカイ 事業内容:病院寝具・白衣等のレンタル・リネンサプライ
  • 売り手:松屋リネンサプライ 事業内容:福祉用具貸与・販売事業
  • 目的:中部地方での顧客基盤の拡大・市場での競争力強化

ダスキン×EDIST

最後に紹介する事例は、ダスキン×EDISTのM&A事例です。

  • 買い手:ダスキン 事業内容:訪販グループ・フードグループの海外展開
  • 売り手:EDIST 事業内容:洋服等のレンタルサイト「EDIST.CLOSET」の運営事業
  • 目的:EDISTのオンラインマーケティングノウハウを取り込むことによる新しい生活・暮らしへのニーズ対応

クリーニング業界でM&Aを成功させるポイント

クリーニング業界でM&Aを成功させるポイントを解説します。

M&Aの目的を明確にする

まずは、M&Aの実施目的を明確にしましょう。

目的としては、M&Aのメリットで挙げた、後継者問題の解決や売却利益の獲得、大手傘下に入って恩恵を受けるなどといったものです。

M&Aの目的を明確化していないと、M&A実施そのものが目的となり、M&Aを実施する意味すらなくなってしまいます。

シナジー効果が期待できる企業に売却する

シナジー効果が期待できる企業に売却することも重要です。

シナジー効果が期待できない企業に売却してしまうと、買い手側のコストが大きいことが原因で、買い手側の収益が減少する可能性があります。そうなると、買収された従業員の雇用体系が悪化し、貴重なノウハウ・技術を持つ従業員が退職するリスクがあります。

税金対策をしっかりと行う

M&Aスキームに応じた税金対策をしっかりと行いましょう。

M&Aごとに課税される税金が異なります。使用するM&Aスキームが決まったら、どのような節税ができるか顧問の弁護士や税理士に相談したり、専門家に相談したりしましょう。節税を行えれば、その分事業にかけられるお金が増えます。

相場を把握する

先述したように困難ではありますが、ある程度の相場の把握は必ず行いましょう。

過去の同業種・同規模のM&A事例や、専門家に相談すると、ある程度の価格が見えてきます。その金額をベースに自社の企業価値を算出すれば、適正な取引価格となるでしょう。

実績や経験が豊富なM&A仲介会社を選ぶ

M&A成功には、経験や実績が豊富なM&A仲介会社に相談することが欠かせません。

M&A仲介会社は、会社のM&A動向や目的確立、交渉の進め方、交渉中の専門分野への質疑対応など、M&Aに関して包括的にサポートしてくれます。専門家は、M&A成功に導く要素・ポイントを詳しく知っているため、まずは仲介会社の無料相談を実施して、相性の良い専門家を探すとよいでしょう。

相談先を選ぶ際は、費用対効果が高い相談先を選ぶことがポイントです。

クリーニング業界でM&Aを行う際の留意点

クリーニング業界でM&Aを実施する際の注意点を解説します。

先述したポイントと併せて参考にしてみてください。

デューデリジェンスは入念に行う

買い手側は、売却企業のデューデリジェンスを入念に実施しましょう。

デューデリジェンスを入念に実施しないと、簿外債務や社内トラブルといったリスクに気付かずに事業承継する可能性があります。その場合、買収後に責任問題を問われたり、最悪裁判沙汰になったりしてもおかしくはありません。

情報漏えいには十分に注意する

情報漏えいに注意することも必須です。

情報漏えいが発生すると、企業価値の下落やM&A交渉相手との話が決裂する可能性があります。情報漏えいは、M&A交渉中や、会社での役員間のM&Aの会議で漏れる可能性があります。交渉相手とは秘密保持契約を締結し、社内ではM&Aの実施・動向が確立するまで従業員の耳に入らないように会議をするなど、さまざまな工夫が必要です。

適正価格で取引を行う

適正価格で取引を行うことも、M&A成功のポイントです。

過去の事例を参考に相場の把握をすることはもちろん、M&Aの専門家へ相談して相場と企業価値がかけ離れないようにしてもらうようにしましょう。よりよい価格で取引するために、社内環境を改善して企業価値を向上させる動向・行動も必要です。

クリーニング業界のM&Aは専門家へご相談を!

クリーニング業界のM&Aは専門家に相談しましょう。

M&Aの専門家は、無料相談を実施しているケースが多いため、利用しない手はありません。

クリーニング業界に強くて経験や実績がある相談先をピックアップし、何度も無料相談を実施して相性の良い担当者を見つけましょう。

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