ラーメン屋におけるM&Aとは?業界動向・事例・メリット・売却相場まで解説!
ラーメン屋業界は、年々ニーズが変化しており、競争が激しい業界です。そのような市場への対抗手段として、M&Aを取り入れるラーメン屋業界企業が見受けられるようになりました。M&Aの理解を深め、自社もM&Aの実施による事業成長の戦略を検討してみましょう。
目次
ラーメン屋業界の現状
ラーメン屋業界のM&Aに触れる前に、まずは業界の現状を把握しましょう。
M&Aを実施する前には、業界全体と自社の現状・動向を検証・比較してみます。
ラーメン屋とは
ラーメン屋業界におけるラーメン屋とは、「ラーメンの専門店」や「ラーメンがメニューの中心である中華料理店」を指します。
近年では、電車の駅内や駅周辺にラーメン屋が店舗を構えられていたり、繁華街においてラーメン屋の激しい競争がされていたりと、日本各地でラーメン屋が浸透していることがわかります。ラーメンは国内外を問わず多くの人々から愛される料理で、特に日本では、家庭料理に並ぶほどです。
ラーメン屋の市場規模
2020年の3月時点において、全国で約26,000店舗あるラーメン屋業界の売り上げは、約6,000億円を超え、麺業界総合市場の1兆5,000億円の4割程度を占めるといわれています。
近年、ラーメン屋は年々店舗数も増える一方で、ラーメン1杯当たりの単価が1,000円を超えているケースが多いでしょう。おいしさに加えて、見た目を重視したラーメン作りがされていたり、女性向けのラーメン屋ができたりと、近年のラーメン屋はお客さんのさまざまなニーズを満たすものとなっています。
ラーメン屋のM&Aの動向
ラーメン屋のM&Aの動向を解説します。
ラーメン屋のM&Aの動向を知ることは、自社でM&Aを取り入れるヒントにもなったり、多様化するニーズ動向の対応策を把握できたりします。常に業界の動向にアンテナを張るように心がけましょう。
競争の激化
ラーメン屋は他業種と比べ、低資金で開業できることから、競争が激化しやすい傾向にあります。個人経営や大手チェーン店などのラーメン屋があるように、さまざまな形での経営手段が存在することも理由の1つです。
ラーメン屋は、激化する市場で生き残る手段を常に考えなくてはなりません。その手段の1つとして、M&Aを活用するラーメン屋が増加傾向にあります。
原材料費などコスト上昇による経営難
近年の円安や国際情勢の変化の影響で、ラーメンに使用する麺をはじめとしたさまざまな材料のコスト上昇が見られています。競争激化であるラーメン業界で勝ち上がるために立地の良い場所に店舗を構えたがゆえに、余計にコストがかかってしまう側面もあります。
結果としてラーメンを値上げするしかない状況となったり、客足が遠のいて閉店したりするラーメ屋も少なくありません。
これらのことから、コスト削減を図るラーメン屋が増加しています。
多様化するニーズに対応するためのM&A
近年のラーメン屋業界では、ニーズが多様化している動向にあります。
以前は、ラーメンの味・おいしさで他店舗との差別化を図っていました。しかし、近年では「オシャレな見た目」「女性でも食べられる」といったような特徴を持つラーメン屋が増加傾向にあります。油そば、混ぜそばを好む若者が増えてきており、その影響で近年では油そば・混ぜそばの市場での市場価値が高まっている動向も見られています。
上記のような多様化するニーズの動向に対応するために、M&Aを利用する店舗も少なくありません。
ラーメン屋のM&Aスキーム(手法)
ラーメン屋のM&Aスキーム(手法)を解説しましょう。
スキームとはM&Aを行うための手法を指し、さまざまな種類が存在します。スキーム(手法)ごとの特徴やメリットが異なるため、そのラーメン屋・会社が求める内容に応じてスキーム(手法)を使い分けることとなります。
株式譲渡
株式譲渡とは、その名のとおり自社が発行した株式を他社に譲渡するM&Aスキーム(手法)です。買い手は譲受した株式に対して、金銭で対価を支払います。
株式譲渡によって売り手のラーメン屋を子会社化することで、買い手は経営権を掌握できるでしょう。株式譲渡は手続きが簡便で、実施しやすいメリットがあります。
注意点は、株式譲渡は株主会社しか利用できないところです。つまり、個人経営のラーメン屋では利用できません。
事業譲渡
事業譲渡は、ラーメン屋事業を他人に譲渡するM&Aスキーム(手法)です。株式会社と同様、買い手は売り手に対して金銭を支払います。
事業譲渡は株主譲渡と異なり、個人経営のラーメン屋でも実施が可能です。売り手には事業売却の利益を獲得できるメリットがあり、買い手には必要な売り手の資産・事業のみを選択して、買収できるメリットがあります。
合併
合併とは、2つ以上の会社が1つに統合されるM&Aスキーム(手法)を指します。
合併には、1つの会社にすべて吸収される形で実施される吸収合併と、すべての会社を消滅させて新たな会社を立ち上げる新設合併の2種類の手法が存在します。
ラーメン屋のM&Aの相談先
ラーメン屋のM&Aを行う際の相談先を解説します。
M&Aを実施する際は、専門家をはじめとした相談機関に相談してサポートしてもらうことがほとんどです。M&Aを考えているラーメン屋は、相談先の特徴やメリットをあらかじめ把握しておく必要があります。
金融機関
関係のある金融機関は、M&Aの相談先として挙げられます。
近年、金融機関ではM&Aの専門部署を設立したり、M&Aサポートを提供したりしているケースが増加しています。M&Aの実施を検討し始めたら、まずは金融機関に相談してみるとよいでしょう。
地元の金融機関であれば、地域のネットワークを生かして適切なM&A交渉先を見つけてくれる可能性があります。
公的機関
商工会議所や、事業承継・引継ぎ支援センターといった各都道府県に点在する公的機関でも、M&Aの相談ができます。
商工会議所は、中小企業をメインにM&Aのサポートを実施しています。中小企業のM&Aの経験実績が多数存在するため、非常に信頼できる相談先といえるでしょう。
注意点として、商工会議所は、利用するにあたって費用がかかります。商工会議所に事前に連絡し、どれくらいの費用がかかるのかをあらかじめ把握しておきましょう。
事業承継・引継ぎ支援センターは、商工会議所とは異なり無料でM&Aの相談ができる公的機関です。こちらも中小企業を主に、M&Aの相談を受け付けています。
しかし、あくまでM&Aのアドバイス・マッチング支援までを行うため、直接的にM&Aのサポートを受けられないことには注意しましょう。
弁護士・税理士・会計士
いわゆる士業と呼ばれる方々に、M&Aを相談する方法もあります。
顧問や関係がある士業の方がいる場合、一度M&Aの話をしてみるとよいでしょう。M&Aの理解・知識があれば、直接的にサポートをしてもらえる可能性があります。
必ずしも士業の方々がM&Aの知識を持ち、コンサルができるわけではないことには留意しましょう。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、M&A相談から相手の選定、動向の準備・確立、実施までを全面的にサポートしてくれる相談先です。
M&Aを専門としているため、豊富な経験・実績があったり、豊富な交渉先を取りそろえていたりするケースがほとんどです。自社のM&Aのメリットを最大化するM&Aスキーム(手法)も指導してくれます。しかし、専門家であるがゆえにほかの相談機関よりも費用が高くなることは覚えてきましょう。
M&A仲介会社は、無料相談を実施しているケースが散見されるため、一度無料相談を実施してもらうとよいでしょう。費用対効果が高い仲介会社を選択できるとベストです。
ラーメン屋の価格相場
ラーメン屋業界のM&A相場を解説します。
価格相場
ラーメン屋は個人経営からチェーン経営など、多彩な業務形態・事業規模が存在するため、自社・自店舗と同系統、同規模であるラーメン屋のM&A事例を参考にすると、おおまかな取引相場が見えてくるでしょう。
1つの目安として、ラーメン屋1店舗を対象としたM&Aの場合、100万円から250万円ほどの取引価格になるケースが多い傾向です。もちろん、一般的なラーメン屋よりも規模が大きい店舗やチェーン店のM&Aであれば、それ以上の価格が算出されることが予想されます。
自社店舗の取引相場を知りたい場合は、M&A仲介会社に相談することで査定をしてくれます。市場の相場、自社の相場を知りたい場合は、一度M&A仲介会社に相談するとよいでしょう。
売却価格の元となる企業価値の算出方法
売却価格を算出する手法として、以下の3つがあります。
- コストアプローチ
- インカムアプローチ
- マーケットアプローチ
通常、M&Aの売却価格はM&A仲介会社に算出してもらいます。今回はそれぞれの算出手法の概要を解説します。
コストアプローチ
コストアプローチは、企業の資産・負債ベースに企業価値を算出する手法です。
コストアプローチは純資産ベースの計算という観点で、客観的に企業価値を算出することに優れた手法であるため、多くのM&Aで採用されています。コストアプローチには、簿価純資産法と時価純資産法と呼ばれる2種類の計算方法が存在します。
インカムアプローチ
インカムアプローチは、将来的に見込まれる収益・キャッシュフローをベースに企業価値を算出する手法です。
コストアプローチと異なり、将来的な利益を予測して企業価値を算出するため、将来情報に対する恣意性が排除されにくい欠点があります。インカムアプローチには、DCF法と配当還元法の2種類の計算方法が存在します。
マーケットアプローチ
マーケットアプローチは、M&A市場価格をベースに企業価値を算出する手法です。
あくまで自社と同じ規模・ビジネスモデルの企業を参考に算出する手法であるため、そのような企業が見つからない可能性あるといった欠点があります。マーケットアプローチには、類似企業比較法と類似取引比準法の2種類の計算方法が存在します。
ラーメン屋をM&Aするメリット
ラーメン屋のM&Aを行う5つのメリットを解説します。
後継者問題の解決
M&Aには、後継者問題を解決できるメリットがあります。
ラーメン屋業界では、後継者が見つからずやむなく閉店に追い込まれた店舗が少なからず存在します。M&A仲介会社に相談することで、事業を承継したい個人の方やラーメン屋のグループ業界を経営する人物とマッチングし、後継者を見つけ出すことが可能です。
事業を存続できる
M&Aには、事業を存続させられるメリットも存在します。
ラーメン屋を廃業するとなると、長い年月をかけて積み上げてきた独自の技術・味・ノウハウを失うこととなります。しかし、M&Aで大手会社のグループ会社に参入したり、後継者を見つけたりすることで、事業を存続させられるでしょう。
事業規模の拡大が期待できる
M&Aでは、事業規模の拡大が見込めることも大きなメリットの1つです。
例として個人経営のラーメン屋の技術・ノウハウを承継することで、自社のラーメン屋の品質が向上して人気を獲得するきっかけにもなりえます。遠方の地域の店舗を買収すれば、その地域の顧客獲得にもつながります。
加えて、個人経営のラーメン屋を買収して自社のグループに参入させることで、直接的な事業規模の拡大による利益獲得も可能です。事業規模が拡大してさらなる利益を獲得できれば、新たな事業・店舗を増やすことも可能です。
従業員の雇用が確保できる
M&Aには、従業員を確保できるメリットがあります。
M&Aで事業譲渡をされた際、買収した事業に従事する人材を自社に取り込めます。人材が不足している店舗に人員を充てたり、新たな人材を生かして新店舗を構えたりすることが可能です。
単純に人手不足な状況である場合は、その解決法としてもM&Aを活用できます。
新たな集客につなげられる
M&Aで大手会社の傘下に入ることで、そのブランド力を生かした新たな顧客獲得にもつながるメリットもあります。 遠方エリア・未開拓エリアの店舗を買収することで、その地域に住む人々を集客することが可能となるメリットも存在します。
ラーメン屋のM&Aの事例
ラーメン屋のM&Aの事例を解説します。
自社・自店舗に類似したM&Aの事例を知ることは、M&Aの動向や目的、経営戦略を確立させるヒントにもなります。
鉄人化計画による直久のM&A
最初に紹介する事例は、鉄人化計画による直久のM&Aの事例です。
買い手の鉄人化計画は、カラオケの鉄人を運営する会社です。売り手の直久は、首都圏を中心に経営するラーメン屋です。
本事例のM&Aは、鉄人化計画の人材確保と飲食分野の強化、サービスの質向上を目的に実施されました。
イートアンドHDによる横濱一品香のM&A
続いて紹介する事例は、イートアンドHDによる横濱一品香のM&Aの事例です。
買い手のイートアンドHDは、「食のライフプランニングカンパニー」を掲げた食に関する事業を展開している会社です。売り手の横濱一品香は、神奈川県横浜市でラーメン屋を経営していた店舗です。
本事例のM&Aは、イートアンドHDと横濱一品香の技術・ノウハウを融合させることでシナジー効果が期待できるとし、実施されました。
創業新幹線によるグッドヌードルイノベーションのM&A
3つ目に紹介する事例は、創業新幹線によるグッドヌードルイノベーションのM&Aです。
買い手の創業新幹線は、企業支援事業・外食事業などを展開している会社。売り手のグッドヌードルイノベーションは、焼き肉や中華の飲食店を展開する会社です。
本事例のM&Aは、グッドヌードルイノベーションの商品開発能力をベースに、海外における多ブランド展開戦略を目指して実施されました。
ギフトによるラーメン天華のM&A
4つ目に紹介する事例は、ギフトによるラーメン天華のM&Aの事例です。
買い手のギフトは、国内で427店舗のラーメン屋を展開している会社。売り手のラーメン天華は、北関東を中心に9店舗のラーメン屋を展開している会社です。
本事例のM&Aは、ギフトの北関東での経営基盤強化の目的によって実施されました。
クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるYUNARIのM&A
最後に紹介する事例は、クリエイト・レストランツ・ホールディングスによるYUNARIのM&Aの事例です。
買い手のクリエイト・レストランツ・ホールディングスは、フードコート・居酒屋・ディナータイプのレストラン・ベーカリーなどと、多岐にわたって食事業を展開している会社。売り手のYUNARIは、首都圏・関東エリアでつけめん屋を営む会社です。
本事例のM&Aは、双方のブランド力を掛け合わせたさらなる事業成長を見込み、実施されました。
ラーメン屋のM&A実施の際の注意点
ラーメン屋を承継する際の注意点を解説します。
味の承継ができるか
ラーメン屋を承継する際、味の承継ができるか否かが大きな懸念点です。
自身が積み上げてきたラーメンの味は、多店舗にはないオリジナルです。自店舗の顧客は、自店舗が提供するラーメンの味が好きで来店してくれます。しかし、オーナーが変わったことでその味が変化しては、もともと存在した顧客が離れてしまうおそれがあるでしょう。
現在の経営者が新たな経営者にラーメン作りを1から指導できれば、味が変わらない可能性があります。しかし、通常はもともとの経営者が新しい経営に携わることはないため、味の承継がなかなかうまくいかない側面が存在します。
M&Aでラーメン屋を承継する際はどのように後継者に味を引き継ぐか、その動向はどうするかなど、しっかりと検討する必要があります。
買い手の選定
ラーメン屋業界のM&Aは、買い手の選定が難しい点が存在します。
承継のタイミングや事業承継までの時間的猶予の有無、納得できる金額での取引ができないなど、理由はさまざまです。
M&Aは本来、長い時間をかけて目的・動向の確立を行い、適切なタイミングでM&Aを実施できるように準備をしておくものです。M&Aで納得のいく形でラーメン屋を承継するには、時間に余裕をもってM&Aの確立・準備を進めておく必要があります。
ラーメン屋のM&Aは専門家に相談・依頼しよう
ラーメン屋のM&Aは、M&Aの専門家に相談しましょう。
M&Aは、目的・動向の確立とその準備、交渉相手の選定など個人では行いきれない部分が多く存在します。税務・法務・会計といった専門知識も必要でしょう。
M&Aはそれらをすべて網羅しており、M&A全般の準備のサポート・アドバイスをしてくれます。自社のM&Aメリットを最大化させるサポートも実施します。
ラーメン屋業界に特化したM&Aの専門家に相談し、納得がいくM&Aができるように心がけましょう。
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