紙製品・パルプ製造業界のM&Aを徹底解説!業界動向・売却・買収事例は?
紙製品・パルプ製造業界のM&Aを徹底解説します。最新の紙製品・パルプ製造業界の動向、売却と買収の戦略的アプローチ、および具体的な事例を詳細に紹介します。成功に導くキーポイントをはじめ、M&Aのプロセス、市場の機会、リスク管理も説明しましょう。
目次
紙製品・パルプ製造業界の概要
紙製品・パルプ製造業界は、木材やリサイクル紙からパルプを製造し、それを基に様々な紙製品を生産する産業です。この業界は日常生活に必須の製品を提供しつつ、環境配慮型の持続可能な製造方法を追求しています。
現代社会のデジタル化の進展、オンラインショッピングの普及、環境への意識の高まりなどが、業界の動向や市場の需要を大きく変えており、これらの変化に適応することが業界の大きな課題となっています。ここでは、紙製品・パルプ製造業界の概要を解説します。
紙製品・パルプ製造業界とは
紙製品・パルプ製造業界は、自然資源である木材を主原料として、パルプを生産し、これを基に多様な紙製品を製造しています。この業界は文化用紙、包装紙、衛生紙など、生活のさまざまな場面で使われる必需品を供給しています。
この業界は特に、持続可能な森林管理とリサイクル技術の進歩に力を入れており、環境への影響を最小限に抑える生産方法を追求しています。
紙製品・パルプ製造業界の現状
紙製品・パルプ製造業界は、デジタルメディアの台頭により新聞や雑誌などの伝統的な紙需要が減少しています。しかし、同時にオンラインショッピングの増加や環境に対する意識の高まりが、包装紙やリサイクル紙の需要を押し上げています。
業界はこれらの変化に対応するため、製品の多様化と効率化を図るとともに、新興市場での事業拡大を進めています。
デジタル技術発展のため縮小傾向にある紙需要
情報のデジタル化が進む中で、新聞や雑誌、事務用紙などの印刷用紙の消費が急速に減少しています。これは、情報の即時性やアクセスの容易さを重視する現代社会のトレンドによるものです。製紙業界はこの挑戦に直面し、デジタル時代に適応するために、新しい技術とマーケティング戦略を導入しています。
段ボールなどの板紙需要の増加
eコマースの拡大に伴い、製品の包装と配送に用いられる段ボールの需要が増加しています。これはオンラインでの購買行動が増えた結果、商品の物流が盛んになっていることに起因します。紙製品業界では、この需要増を背景に、持続可能かつ再利用可能な包装ソリューションを開発し、市場に供給することで環境影響を抑える努力をしています。
インバウンド消費の再開による家庭紙の需要増加
国際的な旅行制限が緩和され、観光業が再び活発化する中で、ホテルや飲食店、公共施設で使われるトイレットペーパーやティッシュペーパーなどの家庭紙製品の需要が増えています。これは、世界的なインバウンド消費の回復が、地域経済だけでなく製紙業界にも好影響を与えていることを示しています。
海洋プラごみ問題による紙素材の包装材・ストローへの脚光
世界中でプラスチック廃棄物による環境汚染が問題視されている中、紙製品が持続可能な代替品として注目されています。特に飲食店で使われるプラスチックストローの代わりとして、紙ストローが普及し始めています。紙製品業界は、これらの環境に優しい製品を通じて、持続可能な消費の促進に貢献しています。
紙製品・パルプ製造業界のM&A動向
紙製品・パルプ製造業界では、国内市場の縮小に伴い、多くの企業がM&Aを活用して事業承継を図りつつ、海外市場への進出を目指しています。
これにより、経営者の高齢化と後継者不在の課題に対処し、グローバルな競争力を強化するための戦略が展開されており、業界の再編成と持続可能性の向上が進められています。ここでは、紙製品・パルプ製造業界のM&A動向を解説します。
後継者不在による事業承継
紙製品・パルプ製造業界では、経営者の高齢化と後継者不在の問題が深刻化しています。これに対応するため、多くの企業がM&Aを活用して事業承継を図っています。
特に中小企業では、家族内での後継者が見つからない場合、他社との統合や売却が選択肢として考えられます。この動向は、事業の持続可能性を保つために不可欠であり、業界内での再編成を促進する要因となっています。
海外市場への参入を目的としたM&Aの増加
紙製品・パルプ製造業界では、国内市場の縮小とともに、海外市場への進出が盛んに行われています。特にアジア市場では需要が拡大しており、日本企業はM&Aを通じて現地企業を買収し、地域内での市場拡大を図っています。
これにより、グローバルな供給網を確保し、国際競争力を強化することが可能となっています。M&Aは、新しい市場への迅速なアクセスと、現地での事業基盤を築く効果的な手段として利用されています。
紙製品・パルプ製造業界でのM&Aのメリット
紙製品・パルプ製造業界におけるM&Aは、後継者不在の問題解決、事業規模の拡大、シナジー効果の実現、従業員の雇用維持、譲渡利益の獲得、そして廃業リスクの回避など、多岐にわたるメリットを提供します。
これにより、業界内の企業は持続可能な成長と安定した運営を目指すことが可能です。ここでは、紙製品・パルプ製造業界でのM&Aのメリットを解説します。
後継者不在の問題解決
紙製品・パルプ製造業界における後継者不在の問題は、売却という形でのM&Aによって解決することが可能です。多くの中小企業がこの問題に直面しており、適切な買い手を見つけることで安定した企業運営の継続と、事業の持続可能性が保証されます。これにより、従業員の雇用も維持され、地域経済への貢献も期待できます。
事業規模の拡大
紙製品・パルプ製造業界におけるM&Aは、売却を通じて事業規模の拡大を実現する手段として利用されます。売却により企業は新しい市場へのアクセスや、生産効率の向上、コスト削減を達成することが可能になり、全体的な競争力の強化が見込まれます。
シナジー効果が期待できる
異なる強みを持つ企業間での売却は、相乗効果の創出を促します。これにより、技術の融合や資源の有効活用が進み、新しい市場への進出や既存市場での競争力が強化されます。売却は研究開発、製品開発、マーケティングの各分野でシナジーを生み出すきっかけになるでしょう。
従業員の雇用の維持
紙製品・パルプ製造業界の企業が売却を選択する大きな理由の1つは、従業員の雇用を維持することです。特に経営が困難な中小企業において、売却は従業員をより大きな組織の安定した環境に移行させることを可能にし、雇用の安定に貢献します。
譲渡利益が得られる
企業の売却は、企業価値を最大化し、経営者や株主に直接的な経済的利益をもたらす手段です。良好な条件での売却は、譲渡利益を生み出し、これにより経営者は新たな事業への再投資やセカンドキャリアの資金として活用できます。
廃業のリスクを避けられる
特に小規模で競争の激しい市場に存在する企業にとって、売却は廃業のリスクを効果的に避ける手段です。経営状態が厳しい企業が適切な買い手に売却されることで、事業の持続が可能となり、従業員にも安定した未来が提供されます。
紙製品・パルプ製造業界のM&A価格の相場
紙製品・パルプ製造業界のM&A価格は、コストアプローチ、マーケットアプローチ、インカムアプローチという3つの主要な方法を用いて算出されます。これらの方法に基づいた初期の価格評価の後、最終的な取引価格は売却側と買収側の交渉によって決定されます。ここでは、紙製品・パルプ製造業界のM&A価格の相場について解説します。
一般的な算出方法
紙製品・パルプ製造業界におけるM&A価格の算出には主に3つの方法が用いられます。
最初にコストアプローチがあり、これは企業の純資産を基に価格を算出します。通常、貸借対照表の簿価を時価に修正して、総資産から総負債を差し引く方法で、主に中小企業のM&Aで採用されます。
次にマーケットアプローチがあり、これは類似の企業や市場データを基に価格を算定します。この方法では、業界内で取引されている類似会社の価格指標を用いて価格を推定します。
最後に、インカムアプローチがあり、これは企業の将来の収益を現在価値に割り引いて計算する方法で、主に成長性の高い企業や安定した収益を持つ企業に適用されます。この方法ではDCF(ディスカウント・キャッシュフロー)法が一般的です。
交渉によって決定
M&Aの最終的な価格決定は、上述の算出方法に基づいた価格提示後、売却側と買収側の間の交渉によって大きく左右されます。価格交渉では、買収側は投資リターンを最大化するために低価格を目指し、売却側は企業価値を正当に評価されるよう高価格を求めます。
交渉プロセスは、双方の期待値、市場の動向、企業の戦略的価値など多くの要因に影響されます。しばしば、売却側の感情や企業への愛着が価格を押し上げる要因となることもありますが、最終的には両者の合意により価格が決定されます。
このプロセスはM&Aの成功において重要な要素であり、しばしば専門のM&A仲介者による助言や介入が求められます。
紙製品・パルプ製造業界のM&Aの事例
紙製品・パルプ製造業界におけるM&A活動は、企業の成長戦略と市場拡大の重要な手段として利用されています。この業界の企業は、技術革新、市場へのアクセス拡大、および競争力の向上を目的として、戦略的なM&Aを積極的に行っています。ここでは、各M&A事例を紹介します。
ダイナパックとTKT Vietnam Plastic Packaging Joint Stock Company(越)のM&A
1つ目の事例として、ダイナパック株式会社は、ベトナムのTKT Vietnam Plastic Packaging Joint Stock Companyの株式の90%を取得し、子会社化しました。この取引事例は、ダイナパックの海外事業の持続的成長戦略の一環として行われました。
ベトナム市場では経済成長が見込まれており、特に軟包装製造業界の拡大が予想されるため、このM&Aによって地域内での製造能力と市場シェアを増強することを目指しています。
株式の取得には独立第三者機関による財務、法務、労務デューデリジェンスおよび企業価値の算出が含まれていました。
特種東海製紙と貴藤持株会社貴藤HDのM&A
2つ目の事例として、特種東海製紙株式会社は、株式会社貴藤ホールディングスを完全子会社化しました。この取引により、株式会社貴藤も特種東海製紙のグループ企業となり、新たな経営体制の下で事業の発展が進められます。
このM&A事例は、特種東海製紙の事業領域を拡大し、市場内での競争力を強化することを目的としています。貴藤ホールディングスの強固な地域基盤と既存の事業資源を活用し、相互のビジネスシナジーを創出することが期待されています。
トーモクとコスモス工業のM&A
3つ目の事例として、株式会社トーモクは、コスモス工業株式会社の全株式を取得し、子会社化しました。このM&A事例は、トーモクの事業の拡張と地域市場でのプレゼンス強化を図る戦略的な動向として行われました。
コスモス工業は段ボール製造・加工・販売及び梱包請負を事業としており、トーモクにとって重要な戦略的資産です。この取引により、トーモクは長野県および周辺地域での事業基盤を強化し、事業のさらなる拡大と効率的な運営が期待されます。
特種東海製紙とレックスのM&A
4つ目の事例として、特種東海製紙株式会社は、2024年4月1日を効力発生日として、自社の小売電気事業を株式会社レックスに会社分割(簡易吸収分割)により承継することを決議しました。
この動向は、ディマンド・リスポンス(電力需給バランス維持に貢献する取組み)を活用した電力需給バランスの維持とCO2削減を目的としています。
この分割事例は簡易分割とされ、株主総会の承認を得ずに実施されます。レックスはこれにより、非化石燃料の製造・販売を強化し、製造業の脱炭素化を支援する強力な事業基盤を構築します。
山陽自動車運送とオアシス・オアシスエクスプレスのM&A
5つ目の事例として、山陽自動車運送株式会社は、株式会社オアシスおよび株式会社オアシスエクスプレスの発行済株式の100%を取得し、これらの企業を子会社化しました。
この取得事例により、山陽自動車運送は千葉県と埼玉県を中心に展開しているオアシスグループの物流・倉庫事業を強化し、配送ネットワークの拡充と輸送品質の向上を目指しています。これにより、持続可能な物流体制の構築に効果的であると見られています。
王子ホールディングスと森羽紙業のM&A
6つ目の事例として、王子ホールディングス株式会社は、森羽紙業株式会社を完全子会社とする株式交換を行いました。この株式交換事例は、王子ホールディングスの段ボール事業の拡大と強化を図る一環として実施されました。
森羽紙業は青森県の津軽地区で段ボール事業を展開しており、この統合により地域に根差した事業活動をさらに強化し、両社のシナジー効果が期待されています。
大王パッケージと吉沢工業のM&A
7つ目の事例として、大王パッケージ株式会社は、新潟県に基盤を持つ吉沢工業株式会社の全株式を取得し、同社を子会社化しました。この取引事例により、大王パッケージは国内における原紙の安定供給体制を強化し、段ボール事業の事業トータルでの収益力を強化しています。
吉沢工業は米菓や食品メーカーを主な顧客としており、段ボール製品を短納期で提供する能力に長けています。このM&Aにより、大王パッケージは北陸地区の生産拠点を新たに確保し、事業の拡大と収益力のさらなる強化を図っています。
紙製品・パルプ製造業界のM&Aを成功させるポイント・注意点
紙製品・パルプ製造業界におけるM&Aは戦略的な成長と競争力強化のために重要ですが、成功させるにはいくつかの重要なポイントがあります。
これには自社の詳細な分析、補完的な強みを持つ企業の選定、市場相場の理解、設備の状態の精査、そして経験豊富なM&A仲介会社との協力が含まれます。ここでは、紙製品・パルプ製造業界のM&Aを成功させるポイント・注意点を解説します。
自社の分析を行う
M&Aの成功には、自社の徹底した分析が不可欠です。これには、財務状態、市場での立ち位置、強みと弱み、事業のサステナビリティなどが含まれます。
この分析を通じて、自社が持つ真の価値と、M&Aによって解決すべき課題や利用可能な機会を明確にすることが重要です。適切な自己評価は、M&Aの際の交渉力を高め、より良い条件を引き出すための基盤となるでしょう。
自社にない強みやノウハウ・立地条件を持っている企業を選ぶ
M&Aの目的は多岐にわたりますが、特に重要なのは自社にない資源を持つ企業を選ぶことです。これには技術、特許、市場アクセス、地理的な利点などが含まれます。
これらを取り入れることで、市場での競争力を高め、ビジネスのスケールを拡大できます。また、補完的な強みを持つ企業との統合は、全体としての効率性を高め、コスト削減にも繋がります。
相場を把握しておく
市場の動向を理解し、類似のM&Aでの価格相場動向を把握することは、適切な評価額の設定に不可欠です。過大または過小な評価は、交渉の失敗につながるため、業界の動向や最近の取引事例を把握することをおすすめします。これにより、現実的で公正な価値提案が可能となり、M&Aの成功率を高められます。
設備の手入れ・管理が行き届いているかチェックする
買収対象となる企業の設備状況を詳細に調査することは、将来の追加投資やメンテナンスコストを見積もる上で重要です。設備が最新かつ適切に維持されているかの確認は、事業の継続的な運営能力と直接関連します。不十分な設備は、将来的に高額な更新や修理が必要になる可能性があり、それが総コストに大きく影響するためです。
M&Aの知識と経験豊富なM&A仲介業者に相談する
M&Aプロセスは複雑で専門的な知識が求められるため、経験豊富な仲介会社に相談することをおすすめします。専門家は、評価から交渉、契約締結までの各段階で的確なアドバイスを提供し、適切な価格での取引、法的リスクの最小化、そして円滑な事業統合を支援します。適切な専門家の選定は、M&Aの成功を左右する重要な要素です。
M&Aを成功させるための相談先3選
M&Aを成功させるためには、適切な相談先を選ぶことが非常に重要です。主な相談先としては、金融機関、公的支援機関、M&A仲介会社があります。
これらの組織は、それぞれ財務、法的、戦略的なサポートを提供し、M&Aの各段階で専門的なアドバイスやリソースを提供できます。適切な相談先を選ぶことで、M&Aのプロセスがスムーズに進行し、目的の達成が可能です。ここでは、M&Aを成功させるための相談先を解説します。
金融機関
金融機関はM&Aにおいて重要な相談先です。これらの機関は長期にわたり企業と取引を行っているため、企業の財務状態やビジネスモデルを深く理解しています。
金融機関は資金調達の相談に乗るだけでなく、M&Aの資金計画や融資の提供を通じて、買収プロジェクトを支援することが可能です。
最近では、M&Aに特化した部門を設け、専門的なアドバイスやマッチングサービスを提供することで、業界の動向を反映した効率的なサポートを展開しています。
公的支援機関
公的支援機関もM&Aの有力な相談先です。特に中小企業向けに設置された事業引継ぎ支援センターや各種補助金プログラムを提供する組織が該当します。
これらの機関は、M&Aに関する一般的な相談から具体的な手続きの支援まで、幅広いサービスを提供しており、コストを抑えつつ専門的なサポートを受けられます。さらに、公的機関は地域や業種に特化した情報を提供することがあり、特に地域密着型の事業承継に有効です。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買収側と売却側の間でのマッチングから交渉、契約締結までをサポートし、M&A取引に特化した専門知識と豊富な取引実績を持つ相談先です。
これらの会社は、市場の最新動向を把握し、適切な評価額の算出や契約書の作成、デューデリジェンス実施など、M&Aの複雑なプロセスを効果的に管理する専門的なサポートを提供します。また、M&A後の統合プロセスのサポートを通じて、事業のスムーズな継続と成功を助けます。
紙製品・パルプ製造業界のM&A専門家に相談しながらすすめよう
紙製品・パルプ製造業界でのM&Aを検討する際、業界の動向を深く理解し、専門家に相談しながら進めることが非常に重要です。この業界は技術革新や環境規制、市場の動向など、絶えず変わる要因によって影響を受けています。
そのため、M&Aプロセスを効果的に管理し、成功に導くためには、これらの要素に精通した専門家への相談が不可欠です。専門家と連携することにより、適切な評価やリスク管理、戦略的な意思決定が行え、M&Aの成功確率を大幅に向上させることが可能です。
紙製品・パルプ製造業界の最新動向を把握し、専門家に相談することで、M&Aをスムーズに進められるでしょう。
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