英会話スクールにおけるM&Aとは?業界動向から売却・買収事例まで徹底解説!

新型コロナウィルスの影響により、英会話スクールの市場規模は一時的に減少しました。しかし、現在は市場規模が回復・拡大し、新規顧客獲得のためのM&Aも盛んになっています。本記事では、英会話スクールにおけるM&Aの概要や業界動向から売却・買収事例まで解説します。

目次

  1. 英会話スクールの業界動向
  2. 英会話スクールのM&A動向
  3. 英会話スクールのM&A・売却・買収を実施するメリット
  4. 英会話スクールのM&A・売却・買収を実施するデメリット
  5. 英会話スクールのM&A・売却・買収事例
  6. 英会話スクールのM&A案件一覧
  7. 英会話スクールのM&Aを成功させるポイント
  8. 英会話スクールのM&Aにおすすめの相談先3選
  9. 英会話スクールのM&Aは専門家に相談がおすすめ

英会話スクールの業界動向

英会話スクール業界のM&Aについて解説するためにも、まず、英会話スクールの業界動向を把握しなければいけません。

ここからは、英会話スクールの現状や業界動向を詳しく分析・解説します。

英会話スクールの現状

2020年に蔓延した新型コロナウィルスの影響により、英会話スクール業界の相対的な市場規模は縮小していました。

一方、現在はオンラインスクールやeラーニングの普及の流れにより市場規模は回復して、年々その規模が拡大を続けています。

また、業界内でAIを導入した学習支援アプリを導入する動向が見られ、顧客満足度を向上させて市場規模拡大を図る英会話スクールも増えています。

それでは、英会話スクール業界の現状について、さらに細かく見ていきましょう。

ITを使った教育サービス「エドテック」の拡大

近年の英会話スクール業界では、ITを使用した流れの教育サービスである「エドテック」が拡大しています。

エドテックとは英語のEducation(教育)とTechnology(技術)を掛け合わせた言葉で、教育分野にAIなどの先進技術を導入した仕組みやサービスを意味します。

英会話スクールにおけるエドテックとは、オンライン授業支援サービスやカリキュラム管理など、AIによるユーザーファーストなサービスを意味しています。

AI技術の進化の動向に伴い、英会話スクール業界へのエドテックの導入はさらに進むことが予測されます。

英語学童サービスの新規参入

近年の英会話スクール業界においては、英語学童サービスの新規参入の増加動向も見られています。

英語学童サービスとは、子供が学校や幼稚園が終わった後に通う学童でのコミュニケーションを英語環境に設定している施設です。

施設内では外国人講師が在籍し、コミュニケーションは全て英語で交わされるので実用的な英語を取得できます。

英語学童サービスは一般的な学童に比べて費用が高めに設定されていますが、その分だけリアルな英語を取得できる人気のサービスです。

英会話スクールの市場規模

英会話スクール業界の市場規模は、2020年に発生した新型コロナウィルスの影響により一時的に縮小したものの、オンラインスクールなどの普及により業界全体の市場規模は回復しました。

その後は子供が通う一般的な英会話スクールの市場規模の動向は横ばい状態が続いており、その背景として新型コロナウィルス対策の緩和が考えられます。

また、2020年に制定された、児童の英語教育を早める流れの施策を提示した教育改革も、英会話スクール業界の市場規模の維持を可能にしている要因の1つです。

英会話スクールのM&A動向

英会話スクール業界ではユーザーの確保や市場シェア拡大のためのM&Aが盛んになっています。

ここからは、英会話スクール業界のM&A動向を詳しく解説します。

大手グループの事業基盤の強化

英会話スクール業界のM&A動向として、大手グループによる事業基盤強化を目的としたM&Aの事例が増加しています。

近年ではKDDIやベネッセなど、同業・異業種ともにM&Aが増加しており、売り手の事業ノウハウをそのまま吸収・継続して収益を拡大しています。

大手グループは豊富な資金力をもとに、AIを活用した新規サービスの提供やeラーニングなどを積極的に導入して市場シェアを着実に拡大しています。

講師不足の解消を目的としたM&Aの増加

近年の英会話スクール業界のM&Aの動向として、講師不足の解消を目的としたM&A件数も増加も見受けられます。

英会話スクールの講師になるためには英語と日本の双方に精通しなければいけないので、人材の確保が困難なのが現状です。

また、そのような人材を1から育成するのは時間とコストが掛かるので、M&Aで手早く優秀な講師を獲得する英会話スクールも多く見受けられます。

そして、今後は同業種だけでなく、異業種が既存の英会話スクールを買収して新規参入を目指す動向が予測されます。

後継者問題の解消を目的としたM&Aも増加

後継者問題の解消を目的としたM&Aが増加している点も、現在の英会話スクール業界の動向です。

近年は英会話スクール業界全体の約半数の企業が後継者不在で悩まされ、中には後継者を擁立できずに廃業・倒産する英会話スクールも多く見受けられます。

特に英会話スクール業界においては経営者自身が教壇に立つ中小スクールも多く、経営者にも高いスキルが必要なため、後継者不在となる事例が多いです。

英会話スクールのM&A・売却・買収を実施するメリット

英会話スクール業界ではユーザー・講師確保のM&Aが盛んですが、取引により実際にどのようなメリットを得られるのでしょうか。

では英会話スクールのM&A・売却・買収を実施するメリットを紹介します。

売り手側

英会話スクール業界でのM&Aでは、売り手側は主に3つのメリットを享受できます。

では英会話スクールのM&A・売却・買収における売り手側のメリットを紹介します。

後継者問題の解決

英会話スクール業界だけでなく他の業界にも共通ですが、後継者問題を解決できることは、M&Aを行う際の売り手側のメリットです。

前述したように、英会話スクール事業では、経営者は講師としての高いスキルが必要とされる場合があるうえに、もちろん経営面に関しても精通していなければいけません。

英会話スクールの中にはこのような優秀な人材を後継者として擁立できず、倒産・廃業する事例も多く見受けられます。

一方、M&Aでスクールを売却すれば、事業そのものが他社に引き継がれるので後継者問題を解決して事業を継続できます。

従業員の雇用維持

英会話スクールのM&Aを行えば、従業員の雇用を維持できるのも売り手側のメリットです。

後継者問題や業績不振で倒産・廃業すれば、その英会話スクールに勤務する講師は職を失ってしまいます。

M&Aでスクールを他社に売却すれば、事業と一緒に従業員も引き継がれるので講師や職員の雇用を維持できます。

大手ブランド力の獲得

大手ブランド力を獲得できるのも、英会話スクール業界でのM&Aで売り手側が得られるメリットの1つです。

近年の英会話スクール業界においては業者間の競争も激しく、顧客を獲得できない中小の英会話スクールの多くが経営困難に陥っています。

そこでM&Aで大手企業にスクール事業を売却すれば、大手企業のブランド力を確保して豊富な経営資源のもとに安定した運営も可能です。

買い手

英会話スクールでM&A・売却・買収を行えば、売り手側同様に買い手側にもメリットが生じます。

では英会話スクール業界でのM&A・売却・買収の際に買い手側が得られるメリットを紹介します。

人材の確保

人材を確保できる点も、英会話スクール業界のM&A・売却・買収で買い手側が得られる大きなメリットです。

新規で英会話スクールを開設しようとすれば、当然ながら英語・日本語の双方に精通したスタッフを揃えなければいけません。

しかし、近年は多くのスクールにおいて、そのような人材を確保できずに有効なサービスを提供できていないのが現状です。

そこで、M&Aにより既存のスクールを買収すれば、事業と一緒に優秀な講師をはじめとした人材を確保できます。

事業規模の拡大

英会話スクールのM&Aを行えば、事業規模を拡大できるのも買い手側のメリットです。

新規で英会話スクールを開設する場合には、設備開設までに多額の費用と時間がかかり、投資回収できるまでの期間も長くなります。

そこで既存で運営している英会話スクールを買収すれば、買収金を支払うだけで今まで通りの流れでスクール運営が可能になるなど、効率的な事業規模拡大が可能です。

弱点の補強

自社の弱点を補強できるのも、英会話スクール業界でM&Aを行う際に、買い手側に生じるメリットの1つです。

例えば、現状で生徒数が多いにも関わらず講師の数が足りていない場合には、優秀な講師が多数在籍している英会話スクールを買収すれば自社の人材不足を解消できます。

英会話スクールのM&A・売却・買収を実施するデメリット

英会話スクールのM&A・売却・買収では、メリット同様にデメリットも生じるのが現状です。

では英会話スクールのM&A・売却・買収を実施するデメリットを売り手・買い手の双方の立場から紹介します。

売り手側

英会話スクールのM&A・売却・買収で売り手側には主に2つのデメリットが生じます。

では英会話スクールのM&Aで、売り手側に生じるデメリットを紹介します。

経営の自由度が制限される

他の業界とも共通しますが、経営の自由度が制限される点は、英会話スクール業界でM&Aを行う際に売り手側に生じるデメリットです。

英会話スクールの買収では、株式譲渡により売り手は事業と一緒に権利も買い手側に引き渡す事例が多く、そうなれば売り手側は経営権も失います。

結果、売り手は今までのように自身の意見を反映した運営は不可能で、経営の自由度が制限されてしまいます。

従業員の離職に繋がるおそれ

英会話スクール業界においても、M&Aを行うと、従業員の離職に繋がるおそれも生じる点も売り手側のデメリットです。

英会話スクールを売却すれば、講師や従業員もそのまま買い手側に引き継がれるケースが多く見受けられます。

そして、講師は今までとは異なる環境で生徒にレクチャーしなければいけないので、ストレスを感じて結果的に退職する事例も少なくありません。

このような事態を防ぐためにもM&Aでスクールを売却する際には、事前の講師や職員へのアナウンスを徹底しましょう。

買い手側

英会話スクール業界でのM&A・売却・買収では、売り手側同様に買い手側にもいくつかのデメリットが生じます。

では英会話スクールのM&A・売却・買収における買い手側のデメリットを紹介します。

簿外債務・偶発債務のリスク

簿外債務や偶発債務のリスクが生じる点も、英会話スクール業界でM&A・売却・買収を行う際に買い手側に生じるデメリットです。

英会話スクールに限らず、M&Aでの買収では契約締結後に売り手の帳簿に記載されていない債務である、簿外債務や偶発債務が生じるケースがあります。

契約締結後にこれらの債務が発生すれば買い手に支払い義務が生じるので、取引期間中のデューデリジェンスを徹底するなどの対策を講じましょう。

自社にふさわしい相手が見つかるとは限らない

英会話スクール業界でM&Aを行う際に、自社にふさわしい相手が見つかるとは限らない点も買い手側のデメリットの1つです。

前述のように買い手側はM&Aを成功させるためにも、自社の弱点を補える相手を見つけるのも重要ですが、交渉相手もその時々で変更するので最適な相手が見つかるとは限りません。

買い手は事前にM&Aで自社が強化したい点など把握し、M&A仲介会社などと連携を取って条件を満たせる取引相手を事前にリサーチしましょう。

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英会話スクールのM&A・売却・買収事例

英会話スクールでM&A・売却・買収を行えば、効率的に事業継続して活発な運営が可能となります。

ここでは、実際に行われた英会話スクールのM&A・売却・買収事例を紹介します。

城南進学研究社によるアイベックスのM&A

2018年には城南予備校などを運営する城南進学研究社が、企業向け英会話スクールや英会話教室などを運営するアイベックスの株式を取得して子会社化しました。

このM&Aは、城南進学研究社が事業部門拡充のために手掛けた事例です。

城南進学研究社による株式会社アイベックスの子会社化に関するお知らせ

KDDIによるイーオンのM&A

2018年1月には英会話教室運営事業や教材販売事業などを手掛けていたイーオンが、モバイル通信事業やDXソリューション事業などを展開するKDDIに自社株式を譲渡して子会社化されました。

このM&Aは、KDDIが教育事業への新規参入のために手掛けた事例です。

KDDIニュースリリース

NOVAホールディングスによるGABAのM&A

2022年7月には、英会話教室運営事業や学習塾事業などを運営するNOVAホールディングスが、同業他社のGABAの株式を取得して子会社化しました。

このM&Aは、NOVAホールディングスが自社事業の拡充のために手掛けた事例です。

NOVAホールディングス株式会社による株式会社GABA子会社化に関するお知らせ

京進によるSELC AustraliaのM&A

2020年10月には、シドニーで留学生向けの語学学校を運営している京進が、オーストラリアで専門学校や語学学校を運営するSELC Australiaの株式を取得して子会社化しました。

このM&Aは、京進が新たな事業ノウハウを取得するために手掛けた事例です。

京進によるSELC Australiaの株式取得に関するお知らせ

英会話スクールのM&A案件一覧

ここでは、弊社が取り扱っているM&A案件の詳細を紹介します。

興味のある案件があればお気軽にお問い合わせください。

【四国×ネイティブ講師複数在籍】英語特化塾、通訳、翻訳、法人研修など

ネイティブ講師が多数在籍している四国の英会話スクールのM&A案件の詳細を紹介します。

このスクールは英語に特化した塾で、通訳や翻訳、法人に対しての研修なども実施している企業です。

今後は既に官公庁職員との連携により、大規模の法人研修も受注予定な点からも高めの買収金額が設定されています。

売上高

5,000万円~1億円

営業利益

~1,000万円

譲渡希望金額

4,000万円

譲渡理由

後継者不足(事業承継)

本案件の詳細は以下のリンクからご覧ください。

【四国×ネイティブ講師複数在籍】英語特化塾、通訳、翻訳、法人研修など

【四国地方】英会話教室・法人向け語学研修業の運営

四国地方で英会話教室や法人向け語学研修業の運営を手掛ける企業のM&A案件です。

レベルの高い講師が複数在籍し、オンラインでのコーチング事業も展開予定でしたが、後継者不足のために事業譲渡を検討しています。

売上高

5,000万円~1億円

営業利益

~1,000万円

譲渡希望金額

希望無し

譲渡理由

後継者不足(事業承継)

本案件の詳細は以下のリンクからご覧ください。

【四国地方】英会話教室・法人向け語学研修業の運営

英会話スクールのM&Aを成功させるポイント

英会話スクールのM&Aを成功させるためにも、いくつかのポイントに留意して手続きを進めなければいけません。

では英会話スクールのM&Aを成功させるポイントを紹介します。

入念な準備

他の業界と共通して、事前に入念に準備するのも、英会話スクールのM&Aを成功させるポイントの1つです。

英会話スクールのM&Aでは法務や税務、財務などに関する複雑な手続きが多く、いざ交渉が開始した時点で準備を始めても間に合わないケースも多く見受けられます。

手続きが揃わなければ交渉が進められず、最悪の場合には契約が破棄される可能性もあるので注意しましょう。

人材流出の防止

英会話スクールでのM&Aを成功させるためにも、人材流出も防止しなければいけません。

M&Aを行えば事業統合により講師や従業員も今までと異なる環境で勤務することでストレスを感じ、結果的に退職する事例も多いです。

このような事態を防ぐためにもM&A完了後に経営者はPMI(Post Merger Integration)を実施し、従業員のケアに努めながら精度の高い経営統合を行いましょう。

経営状態を把握し黒字化を目指す

経営状態を把握して黒字化を目指すのも、英会話スクール業界でのM&Aを成功させるためのポイントです。

M&Aは契約が締結すれば完了ではなく、確かな成果を得てこそ成功といえます。

契約締結後には統合した企業の経営状態をきちんと把握し、効率的な運営を徹底しなければいけません。

専門家への相談

英会話スクール業界のM&Aを成功させるためにも、専門家に相談するのも重要なポイントです。

M&Aの手続きには法務や税務、財務などに関する専門的な知識が必要で、自社のみで対応すれば交渉に間に合いません。

そこでM&A仲介会社をはじめとした専門家に相談すれば、豊富な知識と経験を活かしてスムーズに手続きを進めてくれます。

英会話スクールのM&Aにおすすめの相談先3選

英会話スクールのM&Aを成功させるためにも、信頼できる相談先を選ばなければいけません。

そこでここからは、英会話スクールのM&Aにおすすめの相談先3選を紹介します。

金融機関

銀行や信用金庫などの金融機関は、英会話スクールのM&Aにおすすめの相談先の1つです。

金融機関は財務関連の専門家なので、契約開始前の自社の企業価値評価や各種財務手続きに関する的確なサポートが期待できます。

特に自社を担当している銀行や信用金庫なら、自社の実情に沿った最適なアドバイスや買収費用の融資を受けることも可能です。

公的支援機関

英会話スクール業界のM&Aを成功させるためにも、事業承継・引継ぎ支援センタ―などの公的支援機関にも相談しましょう。

これらの機関は全国各地に設置されている公的支援機関で、M&Aや事業承継に関する相談を積極的に受け付けてくれます。会員登録すれば無料相談を受けられるので、一度利用してみましょう。

M&A仲介会社

M&A仲介会社も英会話スクールのM&Aを行う際のおすすめの相談先の1つです。

M&A仲介会社はM&Aに関する専門的な知識を有しており、M&Aの煩雑な手続きにもスムーズに対応してくれます。

また自社の状況をヒアリングし、そのうえで豊富なネットワークを活かして最適なマッチングをしてくれるのもメリットです。

英会話スクールのM&Aは専門家に相談がおすすめ

本記事では英会話スクールにおけるM&Aの概要や、業界動向から売却・買収事例まで徹底解説しました。

英会話スクールのM&Aに成功すれば、効率的に事業継続できるうえに人材確保や事業シェア拡大などのメリットが得られます。

しかし、手続きには法務や税務、財務に関する専門的な知識が必要なので、M&Aに特化した知識を持つM&A仲介会社をはじめとした専門家に相談し、スムーズに手続きを行うとよいでしょう。

また、売却・M&Aでも英会話スクール業界における効率的な事業引継ぎが可能ですが、さらにスムーズな引継ぎを行うのであればM&A仲介会社による事業承継がおすすめです。

仲介会社による事業承継を活用する場合、自社親族内の後継者を擁立できれば簡単に手続きが完了します。

さらに親族や従業員内に後継者がいなくても、第三者企業から最適な後継者を探せることも仲介会社による事業承継のメリットです。

特に近年は事業承継に特化しているM&A仲介会社も多いので、ぜひ一度相談をしてみてください。

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