事業承継で負債がある際のポイントを解説!メリットや手続きの流れは?
事業承継を行う企業の中には、負債がある状態で進める事例も少なくありません。負債がある事業承継を行う場合には、どのようなことに注意して進めていくべきか気になる方も多くいます。今回は、事業承継で負債がある際のポイントやメリット、手続きの流れを解説します。
目次
事業承継における負債とは?
負債とは、将来的に支払わなければいけない金銭や物資などの債務のことです。
会社や事業で負債を負っている場合、経営者ではなく会社に返済義務があるため、負債のある事業を承継すると、負債も同時に承継されます。会社である程度の負債を負っていることが一般的なため、返済が困難な状態の債務超過でない限り、事業承継では問題ありません。
事業承継における負債には、主に以下のものがあります。
- 借入金
- 仕入金
- 未払金
- 買掛金
- リース料
- 税金
ここでは、事業承継における負債を解説します。
借入金
借入金とは、全ての借りたお金(金銭)のことです。
金融機関から借りた場合も、個人からの融資によって借り入れをした場合も、全て借入金として扱われます。借入金には、返済義務があり、基本的には借入元本に加えて利息を支払う必要があるでしょう。
借入金は、賃借対照表の「負債の部」に返済期間1年以内の短期借入金と、1年以上の長期借入金に分けて記載されます。しっかりと自社の借入金を把握しておくことは事業承継を進めるため、事業承継後の経営に負担がからないためにも大切なポイントです。
仕入代金
仕入代金とは、会社で販売することを目的に購入した際にかかった費用のことです。
主に商品の原材料・販売目的で購入した商品・輸送量・関税などでかかった費用は、全て仕入れ代金として扱われます。売上原価と混同して認識されることが多くありますが、売上原価には仕入れ代金に加えて、保管維持費・人件費・減価償却費なども含まれます。
ほとんどの会社では、仕入れ代金よりも売上原価のほうが高くなるでしょう。
未払金
未払金とは、商品やサービスを購入した際に代金の支払いが完了していない債務を対象にする勘定科目のことです。
例えば、クレジットカードやローンで支払いをした際は、支払い手続きは完了していても実際に支払いは完了していないため、未払金として扱われます。後日支払いが行われるものは、全て未払金です。
未払金は、負債として扱われますが、借入金とは違います。1年以上のローンを組んで支払いを行う場合など長期的に返済を行っているものは、未払金ではなく「長期未払金」として扱われます。
買掛金
買掛金とは、取引先からの仕入れや加工依頼などの通常の取引でかかった費用で、まだ未払いの代金のことです。
将来的には支払う義務がある代金のため、未払金と混同されがちです。しかし、買掛金は信用取引などによって代金後払いを行った際に使用する勘定科目のため、それぞれ違いがあります。
買掛金を抱えている会社に対して、信用取引によって代金の支払いを待っている会社は取引先に代金を請求できる権利のある「売掛金」があります。
リース料
リース料とは、リース会社からリース契約で機械や設備を借りたときに支払う費用のことです。
リース契約は、高額な費用を支払うことなく定額で機械や設備を借りられるため、経済的な負担が少ないメリットがあります。リースの対象になる物品には、主にパソコン・デスク・ロッカー・機械・設備などのオフィス用品や営業用の自動車・不動産などが含まれます。
土地や建物、自動車などをリース契約以外の契約で借りたときに支払う費用は、「賃貸料」です。どちらも似ているため、混同されることがあります。しかし、リース料はリース契約によって物品を借りたときに支払う費用のことのみになります。
税金
将来的に支払う必要のある税金も、負債として扱われます。
繰延税金負債といい、主に会計上での利益が税務上での課税所得よりも上回っている場合に、その差額分に対して課税される税金相当額のことです。
税効果会計の1つであり、会計上の資産または負債と税法上の資産、または負債との差額を調整するための勘定科目でもあります。
負債がある事業承継のメリットとデメリット
負債がある事業承継には、さまざまなメリットとデメリットがあるため、会社によっては大きな利益になる場合と負担になる場合もどちらも考えられます。
これから負債のある事業承継を行う場合は、しっかりとメリットとデメリットを理解しておくことが大切です。ここでは、負債がある事業承継のメリットとデメリットを解説します。
メリット
負債がある事業承継には、主に以下のようなメリットがあります。
事業を迅速に開始できる
1つ目のメリットは、事業を迅速に開始できることです。
事業承継によって既存の事業を引き継げれば、1から事業を立ち上げなくてもすでにある程度成長している事業を運営できるため、スムーズ流れで事業を進めることが可能です。
既存の顧客や取引先を引き継げる
事業承継では、既存事業と同時に既存の顧客や取引先も引き継げるメリットもあります。
1から事業を立ち上げる場合では、集客や営業活動によって顧客や取引先を獲得する必要があります。しかし、事業承継ではそれらの手間やコストを省くことが可能です。
ある程度の信頼関係を構築できている場合もあるため、事業をスムーズな流れで進められます。
ブランドやノウハウなどの無形資産を引き継げる
引き継いだ事業のブランドやノウハウなどの無形資産を引き継げることも事業承継のメリットの1つです。
ブランドやノウハウは、事業を長期的に運営していくことで培っていく資産のため、1から事業を立ち上げた場合では得るために時間がかかります。しかし、事業承継によって引き継いだ事業にはすでにブランドやノウハウがあるため、ブランドやノウハウを生かして事業を展開することが可能です。
従業員の雇用を維持できる
事業承継を行うことで、その事業に関わっていた従業員の雇用を維持できることも重要なメリットです。
会社が廃業してしまうと多くの従業員の雇用も失われてしまうため、経営者だけでなく多くの人に影響が出てしまいます。事業承継によって会社を存続させられれば、従業員はそこで働き続けられるため、雇用や待遇は保証されます。
事業承継は経営者だけでなく、従業員のことも考慮して検討することが大切です。
デメリット
負債がある事業承継には、主に以下のようなデメリットがあります。
事業継続の困難化
事業を引き続くことで、ある程度成長した状態から事業を開始できます。
ただ、負債も抱えている状態のため、事業継続が困難な場合があります。十分に事業を行うための資産が不足しており、負債の返済に追われてしまう状態であれば、流れとしてそのまま廃業してしまうケースも少なくありません。
負債のある事業承継を行う場合は、以上のデメリットに注意しましょう。
経営の自由度の低下
負債を抱えていることによって、本来なら実施できた施策が行えない可能性があります。
負債の返済が最優先の状態では、経営の自由度が低下してしまい、後継者は十分に事業計画を進めていくことが不可能です。事業承継では、以上のようなリスクもあるため、十分に理解した上で、引き継ぐことを検討しましょう。
後継者の負担増加
事業承継で負債が引き継がれることで、後継者の負担は増加します。
事業運営や従業員・取引先との関係構築などを進めながら、負債の返済対応にも追われてしまうため、心身ともに多くの負担がかかってしまうリスクが高いでしょう。事業承継前に、しっかりと後継者に負債の返済の今後の流れや負債の状況などを明確に説明しておくことが大切です。
事業価値の低下
負債を多く抱えている場合、事業価値が低下してしまうリスクがあります。
特に資産よりも負債が上回っている場合や債務超過になりそうな状態の事業では、価値が低下するリスクが高いでしょう。ただ、事業価値は収益性や純資産価値以外にも、ブランド力やノウハウ、信用などの無形資産・知的財産なども含んだ上で評価されます。
負債がある状態でも、事業価値を高めることが可能です。
負債がある事業承継の手続きの流れ
効果的に事業承継が進めるためには、手続きの流れを十分に理解しておくことが大切です。
ここでは、負債がある事業承継の手続きの流れを解説します。
資産・負債の確認
負債のある事業承継では、最初の流れとして資産・負債の確認をします。
引き継ぐ資産・負債を明確にしておくことによって、事業承継をスムーズに進めることが可能です。特に引き継ぐ資産価値に応じて課せられる税金について、徹底した税金対策を行う必要があるため、最初の流れである資産・負債の確認は大切になります。
簿外債務にも注意を払って確認しておかなければ、会計上は資産が上回っている場合でも実際には債務超過であるケースを見落としてしまうリスクがあります。
事業承継を行う際には、最初に資産・負債の確認を徹底して行うことが大切です。
事業承継先の検討
続いての流れは、事業承継先を検討することです。
事業承継を行うためには、後継者を選定する必要があります。このときに社内や親族内に後継者がいない場合は、外部の第三者を後継者に選定します。社外の第三者を後継者に選定する場合は、どのような人物なのか、後継者としての資質はあるのか、などをしっかりと確認して検討することが大切です。
自社に最適な後継者に事業を引き継げれば、事業成長や拡大を期待できます。しかし、そうでない場合は、廃業や赤字化などのリスクが発生します。
最適な事業承継先を見つけられれば、後継者の育成も行う必要がないため、手間や費用を大幅に削減することが可能です。事業承継先の検討も、大切な流れの1つになります。
事業承継計画・分社化の検討
事業承継先を検討して最適な後継者を決められたら、続いての流れとして事業承継計画・分社化を検討します。
事業承継計画は、事業承継の方法・スケジュール・承継のタイミング・承継するものなどを明確に記載して、自社関係者や後継者に共有します。分社化とは、複数事業を展開している会社が一部の事業を分割して独立した会社を新たに設立することです。
分社化では、M&A手法を用いて事業承継とは違った流れで手続きなどを行う必要があるため、分社化する場合は事業承継とは別で計画を進めます。分社化には、多くの知識や手続きが必要になるため、自社のみで進めると失敗リスクが高くなります。
M&A仲介会社などのM&A専門家に相談して、進めていくことが大切です。
後継者による事業計画
後継者による事業計画も、事業承継の手続きの流れの1つです。
事業承継によって後継者に事業が引き継がれた後は、さまざまな変化によって安定した利益を得ることが難しくなる場合があります。一部の従業員や取引先が離れてしまう可能性も、考慮しておくことが大切です。
後継者は事業計画を立てておくことで、しっかりと根拠のある経営能力を多くの自社関係者や金融機関などに理解してもらえるため、融資や負債の引き継ぎなどがしやすくなります。後継者も事業承継後の会社を考えて、事業計画を立てておきましょう。
負債への対策
負債のある事業承継を行う場合は、しっかりと負債の対策をしてくことが重要です。
負債のある事業を残して収益性の高い事業を分社化した際は、残された会社に返済能力がないため、負債への対策が必要になります。ほとんどの場合、法人の破産手続きによって負債を処分することが検討されます。しかし、経営者に返済義務のある負債の場合は、経営者自身が破産手続きを行う場合があるでしょう。
経営者に返済能力がある場合、返済計画を立てて長期的に返済し続けていくことが可能です。ただ、経営者に返済能力がなく破産手続きをする場合は、自宅や自家用車などの債務の返済に充てられるため、家族がいる場合には大きなリスクになります。
経営者は、以上のようなリスクや対策を理解しておきましょう。
負債がある事業承継を行う際のポイント
負債がある事業承継を行う際は、いくつかの抑えておきたいポイントがあります。
ここでは、負債がある事業承継を行う際のポイントを解説しましょう。これから負債がある事業承継を行う際は、しっかりとポイントを意識した上で進めていくことをおすすめします。
負債の状況を把握する
事業承継では、資産と負債の状況を把握することが大切なポイントです。
特に負債を把握しておくことで、後継者は事業承継後にどのような事業計画のもと事業を運営してくべきか判断できます。経営者は後継者に負債の状況を共有して、どのように返済していくのか説明することが大切です。
返済計画を立てる
負債は、できるだけ早期に返済したほうが事業を継続させていく上では、効果的です。
しっかりと事業で抱えている負債の返済計画を立てて、事業承継後の事業運営に大きな支障を出さないように対策します。しっかりと返済計画を立てられれば、後継者は負債によって経営を圧迫されるリスクや精神的な負担が軽減されます。
リスクを評価する
自社が負債によって抱えているリスクを評価することも、大切なポイントです。
リスクを評価する場合は、主に以下のような視点でリスクを評価しましょう。
負債が原因で事業が破綻する可能性
債務超過などが原因で事業が破綻する可能性があるため、自社のリスクを評価する上で検討しておくべき重要なポイントの1つです。
ある程度の負債であれば、多くの会社が抱えているため、あまり問題がありません。しかし、債務超過や債務超過寸前の状態であれば、負債の返済ができずに破産手続きを行うケースがあります。
以上のようなリスクをしっかりと評価しておくことが大切です。
経営者の個人資産への影響
事業で抱えている負債が経営者の個人資産にどれだけ影響するのかも考慮して、リスクを評価しましょう。
事業で抱えている負債を事業資産のみでは返済できない場合は、経営者の個人資産から返済を行います。場合によって、経営者自身が破産手続きを行わなければいけないリスクもあるため、しっかりと評価しておくことが大切です。
一般的な事業承継の手順
一般的な事業承継は負債がある事業承継とは違い、負債の確認や対策を行う必要がないため、手間を少し省くことが可能です。一般的な事業承継は、具体的にどのような手順で行うのか気になる方も多くいます。
ここでは、一般的な事業承継の手順を解説します。
事業承継の意思決定
一般的な事業承継の流れは、最初に事業承継の意思決定をすることです。
事業承継を行う目的は、経営者の引退や事業拡大、廃業の回避などさまざまなため、最初にしっかりと意思決定を行うことが大切です。しっかりと意思決定をすることで、リスクを抑えて事業承継をスムーズに進められるようになります。
デューデリジェンス
ディーデリジェンスとは、主に M&Aで第三者に事業承継を行う場合に実施されます。
事業承継をするリスクや効果などを調査して、十分に事業承継の効果があるかどうか検証します。デューデリジェンスでは、相手企業の財務・税務・法務・事業内容・債務・雇用などの調査を行うため、弁護士や税理士などに依頼して行うことが一般的です。
事業承継方法の検討
事業承継の方法には、主に以下の3つがあります。
- 親族内承継
- 親族外承継
- M&A
どの方法で事業承継を行うのかしっかりと検討することが大切です。
親族内に最適な後継者がいる場合は「親族内承継」、親族にいない場合は「親族外承継」、自社内に最適な後継者がいない場合は第三者を後継者にする「M&A」になります。
事業承継計画の作成
事業承継を進める場合、順調に進められるように事業承継計画の作成をします。
事業承継計画では、主に事業承継の方法・承継のタイミング・スケジュール・承継するものなどを明確に記載します。作成した事業承継計画は、後継者や社内関係者に共有して理解や協力を得ることが大切です。
事業承継計画の作成は、以上のような流れで進めていきます。
専門家への相談
事業承継では、さまざまな専門知識や業務が必要になるため、専門家への相談も行います。
主に公的支援機関・金融機関・弁護士・税理士などの専門家に依頼することで、事業承継に必要な手続きや税制の支援をしてもらうことが可能です。M&Aを行う場合は、M&A仲介会社に相談することが効果的です。
契約書の締結
事業承継で締結する契約書には、主に以下のものがあります。
- 遺産分割協議書
- 生前贈与契約書
- 使用貸借契約書
- 事業譲渡契約書
- 株式譲渡契約書
自社の事業承継の方法によって、必要な契約書を締結します。
赤字経営の企業を承継する際の特別な配慮
赤字経営の企業を承継する際には、いくつか特別な配慮を行うことが大切です。
しっかりと赤字経営の企業に対して配慮することで、黒字化させることにもつながります。ここでは、赤字経営の企業の事業承継を行う際の特別な配慮について解説します。
赤字の原因分析と対策
赤字経営の企業は、赤字の原因分析と対策が必要です。
例えば、利益率が低く減価率が高い商品やサービスを提供している場合などは、事業を廃止したり改善させたりする必要があります。赤字経営の原因を突き止められれば、その原因を改善する対策が可能です。
最初に赤字の原因分析と対策を行いましょう。
赤字の根本原因の特定
赤字の根本原因の特定も大切です。
赤字の主な根本原因には、粗利率が低い・経費が多い・売り上げが少ないなどが考えられます。経費削減のための取り組みを行ったり、仕入れ費用や在庫管理費用、人件費などの見直しなどを行ったりして、根本原因を解決させることが大切です。
根本原因を特定して解決させることで赤字を改善できます。
赤字を減らすための戦略と行動計画
赤字の原因分析や根本原因が把握できたら、改善させるために戦略と行動計画を立てます。
赤字を改善させるにはしっかりと戦略と行動計画を立てて、継続的に取り組んでいく必要があります。しっかりと、戦略と行動計画を立てて実施すれば、赤字を解決させることも可能です。
負債がある場合の事業承継の相談先
負債がある場合の事業承継では、さまざまなことに注意を払って慎重に進めていく必要があるため、自社のみで進めていくことはあまりおすすめできません。
負債がある場合の事業承継は、信頼できる相談先を見つけることが大切です。ここでは、負債がある場合の事業承継の相談先を主に5つ紹介します。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、売り手企業と買い手企業の仲介役を果たしながらM&Aの相談・支援を行うM&A専門家のことです。
M&Aマッチングから交渉・戦略立案・契約書の作成・契約・クロージングまで一貫した支援をしてもらえるため、初めてM&Aによる事業承継を行う企業には、非常に効果的な相談先になります。ただ、M&A仲介会社ごとに料金体系や担当者との相性、得意領域などは違ってくるため、事前に確認しておくことが大切です。
事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、全国の地方自治体に設置されている公的機関のことです。
主に中小企業や小規模事業者を対象に無料で、経営・M&A・事業承継・後継者選定などの相談・支援を受け付けています。後継者人材バンクや M&Aマッチングプラットフォームを保有している場合や、セミナーやイベントを開催している場所もあります。
借入金や仕入れ金などの負債を処理したい場合にも、効果的な相談先です。これから事業承継を検討している企業は、近くの事業承継・引継ぎ支援センターに相談してみることをおすすめします。
商工会議所
商工会議所は、中小企業や小規模事業者の経営者や事業主が会員となって構成されている公的機関の1つです。
主に地域復興や地域の中小企業・小規模事業者の経営や事業承継の相談・支援を行っており、会社の福利厚生や退職金の支援も対応しています。会員同士での交流やセミナーなどが盛んなため、さまざまな情報収集の場としても活用することが可能です。
商工会議所は会員になることで誰でも気軽に利用できるため、気になる場合は会員になってみることをおすすめします。
税理士会
税理士会では、事業承継の税制に関する知識を持っている税理士が多く在籍しているため、事業承継の税制に関する相談が可能です。
経営や事業承継に必要な手続きや業務などの知識や経験を多く保有している場合もあるため、効果的な相談先になります。ただ、必ずしも事業承継に関する専門知識を持っているとは限らないため、税理士へ相談する際はしっかりと選定することが大切です。
弁護士会
弁護士会では、事業承継や借入金などの負債に関する対処などの知識を持っている弁護士が多く在籍しています。
借入金や仕入れ金などの負債のある事業承継を行う場合の効果的な相談先です。ただ、弁護士は法律や手続きに関する知識は多く保有しているものの、事業承継は専門的に行っていない場合もあります。
弁護士に依頼する場合は、コンサルティングを行う会社やM&A仲介会社などから弁護士を紹介してもらい相談することが可能です。M&A仲介会社に紹介してもらうことで、弁護士をスムーズに依頼できます。
負債がある場合の事業承継成功事例
負債がある場合の事業承継に成功した事例が数多く存在しています。
負債がある事業承継を検討している企業は、これから紹介する負債がある事業承継の成功事例を参考してみることをおすすめします。ここでは、負債がある場合の事業承継成功事例を主に3つ紹介しましょう。
長野の総合建築業の事業承継
長野県にある総合建築業を営む飯山ブロックの経営者は80歳を超える高齢の方だったため、将来性を見すえて事業承継を検討していました。
しかし、飯山ブロックには、多額の負債を抱えている状態であり、数十年の期間をかけて返済をしている状態が続いていました。スムーズに事業承継を進められませんでした。そこで、長野県にある事業承継・引継ぎ支援センターの支援によって、最適な人材を後継者として選定することに成功しました。
飯山ブロックは、多額の負債を抱えている状態でしたが、地元からの信頼が高い優良企業だったため、最適な後継者を選定できました。
富山の温泉宿の事業承継
富山県で温泉宿を運営している池上旅館も、負債のある事業承継成功事例の1つです。
池上旅館は、約150年以上の歴史を持つ老舗旅館であり、これまでに多くの顧客が訪れていました。しかし、経営悪化も続いていた影響で多額の負債を抱えており、今後の返済が不安な状況でした。
そのような中、親族内承継によって長女が旅館を引き継ぎ、夫の助けを借りながら新たに経営をスタートしました。富山県の事業承継・引継ぎ支援センターの支援を受けることで、借入金の経営者保証解除に向けた交渉を進めている状況です。
負債を抱えている状態でも、未来に期待できるようになりました。
水位計の製造・販売会社の事業承継
水位計の製造・販売会社であるキャパコンインスツルメンツは、債務超過の財務状況で事業承継が問題なくできるか懸念していました。
しかし、事業承継・引継ぎ支援センターに紹介された水処理システムとのM&Aによって、第三者への事業承継に成功しました。水処理システムの社長が株式を無償で引き継いだことで、借入金の経営者保証も引き継ぎ、債務超過の問題を解消できました。
キャパコンインスツルメンツのノウハウを失わないように、技術者を派遣して業務のマニュアル化や役員の残留による技術の承継を進めました。キャパコンインスツルメンツの事業を引き継いだ後、東京を中心に事業拡大を進めている状況です。
負債を抱える事業承継は準備と検討を入念に!
事業承継を行う企業は、全国的に増加しており、今後も多くの企業が事業承継を行うことが予想されています。
事業承継を行う企業の中には、負債のある事業承継を行うケースも少なくありません。事業承継における負債には、借入金や仕入れ代金、未払金などさまざまなものがあります。
負債を抱える事業承継では、一般的な事業承継よりも業務や手続き、準備が多く、さまざまなリスクもあるため、余裕を持って入念に検討するようにしましょう。
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