地方のM&Aの動向を徹底解説!課題や事例・成功させるためのポイントは?

地方でのM&Aを検討する企業が増加傾向にあります。地方でM&Aを実施する際には、どのような形でM&Aが行われているか知ることが大事です。今回は地方でM&Aを検討している企業に向けて、地方のM&Aの課題や成功事例などについて解説します。

目次

  1. 地方のM&Aの動向
  2. 地方のM&Aを難しくさせている課題
  3. 地方のM&Aが必要とされる後継者問題
  4. 地方のM&Aを行うメリットとデメリット
  5. 地方のM&Aが行われた成功事例
  6. 地方でM&Aを行う上での成功させるポイント
  7. 地方でのM&Aは専門家に相談しながらすすめよう

地方のM&Aの動向

地方の企業でM&Aを検討している企業は、まずは地方のM&Aの動向を知ることが大切です。

地方の企業がどのような現状にあり、なぜM&Aに踏み切ったのか知ることで、自社の戦略にも生かすことが可能です。

ここでは、売却側企業と買収側企業に分けてM&Aの動向を解説します。

売却側企業の動向

売却側企業のM&Aの動向として、後継者不在の問題の解消を目的としたM&Aが実施されている動向が見られています。

地方の中小企業で、後継者不在の問題に頭を悩ませている企業が半数近く存在します。

自社の事業の一部あるいは全部を買収側企業に引き渡すことで、後継者問題から解放され、経営者は売却益を受け取ることが可能です。

買収側企業の動向

買収側企業のM&Aの動向として、都市部の企業を中心にM&Aによる買収が増加している動向が見られています。

地方よりも都市部の企業がM&A戦略で成長しようとする動向が見られており、地方の企業の持つノウハウや商圏などを買収したいと考えるケースが多いでしょう。

地方のM&Aを難しくさせている課題

地方の企業を中心にM&Aを検討している動向が見られていますが、実際はM&Aが難しくて踏み切れていない企業が多いでしょう。

地方のM&Aの成功を阻む課題として、主に以下のものがあげられます。

  • 売却・買収企業が見つかりにくい
  • M&Aの知識が少ない
  • M&Aの相談相手が少ない
  • M&A専門会社への支払い金の負担
  • M&Aへのマイナスイメージ

以下で詳細を解説します。

売却・買収企業が見つかりにくい

地方のM&Aの成功を阻む課題として、売却・買収企業が見つかりにくい点があげられます。

地方の中小企業は、外部の企業とのつながりがやや薄い企業が多いでしょう。

M&Aを持ちかけられる候補が少なく、売却・買収企業が見つかりにくい課題に直面しています。

M&Aの知識が少ない

地方のM&Aの成功を阻む課題として、M&Aの知識が少ない点があげられます。

地方の中小企業でM&Aだけに限らず、経営分野における知識が不足しているケースも多いでしょう。

実態のよくわからないものには手が出せないと感じ、M&Aに踏み切れずにいる動向が見られています。

M&Aの相談相手が少ない

地方のM&Aの成功を阻む課題として、M&Aの相談相手が少ない点があげられます。

先ほど企業とのつながりに触れましたが、それと同じ理由でM&Aの相談相手の少なさに悩む状況も見られています。

M&A専門会社への支払い金の負担

地方のM&Aの成功を阻む課題として、M&A専門会社への支払い金の負担がかかってしまう点があげられます。M&A専門会社は、M&Aのサポートを行ってくれる業者のことです。

M&Aの専門会社に依頼すれば、相談相手の少なさなどの問題を解消できます。

しかし、その代わりに業者に依頼するのに費用がかかってしまう点に注意が必要です。

M&Aへのマイナスイメージ

地方のM&Aの成功を阻む課題として、M&Aへのマイナスイメージが拭えない点があげられます。M&Aに対して、マイナスなイメージを持っている企業も一定数見られています。

実際、M&Aを実施してステークホルダーの反感を買ってしまうことも少なくありません。

地方のM&Aが必要とされる後継者問題

地方のM&Aが必要とされる後継者問題の実態を解説します。

地方のM&Aにまつわる後継者問題の実態として、以下のような状態が見られるケースが多いでしょう。

  • 希望の交渉相手が見つかりにくい
  • 高齢化問題
  • 地元への愛着ゆえに地元で解決しようとする

以下で詳細を解説します。

希望の交渉相手が見つかりにくい

地方のM&Aにまつわる後継者問題の実態として、希望の交渉相手が見つかりにくい動向が見られています。

少なくとも地方企業が地方企業とのM&Aを探そうと思うと、M&A仲介会社などを利用しても希望に合う相手が見つかりにくいでしょう。

高齢化問題

地方のM&Aにまつわる後継者問題の実態として、高齢化問題が見られています。後継者となり得る人物が見つからず、経営者の平均年齢が上がりつつあります。

M&Aでその状況を解消しようとするケースも見られていますが、地方企業だとまだ解消できていない企業が多いでしょう。

地元への愛着ゆえに地元で解決しようとする

地方のM&Aにまつわる後継者問題の実態として、地元への愛着ゆえに地元で解決しようとする動向も見られています。

特に年齢の高い経営者ほど地元へのこだわりを持って、県外の企業とのM&Aを拒む傾向にあります

地方のM&Aを行うメリットとデメリット

地方のM&Aを行う前に、M&Aのメリット・デメリットを知っておく必要があります。地方のM&Aのメリット・デメリットを知っておくと、M&Aで失敗するリスクを減らすことが可能です。

地方のM&Aのメリット・デメリットを解説します。

売却側

まずは、地方のM&Aの売却側のメリット・デメリットを解説します。

地方のM&Aの売却側のメリットとして、以下のものがあげられます。

  • 事業承継問題の解消ができる
  • 売却することで金銭収入が得られる

一方で、地方のM&Aの売却側のデメリットとして、以下のものがあげられます。

  • 希望する金額で売却できるとは限らない
  • ステークホルダーへの説明が求められる

以下で詳細を解説します。

メリット

地方のM&Aの売却側のメリットとして、事業承継問題の解消ができる点があげられます休廃業に追い込まれている場合、M&Aを用いることで自社の事業を完全に捨てずに済むようになります。

売却することで金銭的収入が得られる点も、地方のM&Aの売却側のメリットです。アーリーリタイアしたいと考える経営者にとって、M&Aはすぐに老後資金を作り出すことのできる取引といえます。

デメリット

地方のM&Aの売却側のデメリットとして、希望する金額で売却できるとは限らない点があげられます。双方で話し合って売却額が決まるため、企業価値を高める工夫をしないと取引額が安くなってしまう可能性が高いでしょう。

ステークホルダーへの説明が求められる点も、地方のM&Aの売却側のデメリットです。

特に売却側の企業は事業を引き渡す立場になるため、よりステークホルダーからの反感を買いやすいことを理解して十分な説明を行う必要があります。

買収側

地方のM&Aの買収側のメリット・デメリットを解説します。

地方のM&Aの買収側のメリットとして、以下のものがあげられます。

  • 新しい資源を活用してシナジー効果が狙える
  • 環境変化に対応しやすい

一方で、地方のM&Aの売却側のデメリットとして、以下のものがあげられます。

  • 買収するための資金が必要
  • 企業文化の違いで衝突する可能性がある

以下で詳細を解説します。

メリット

地方のM&Aの買収側のメリットとして、新しい資源を活用してシナジー効果が狙える点があげられます。それまで持っていなかった資源を活用し、シナジー効果で新しい事業展開を進めることが可能です。

環境変化に対応しやすい点も、地方のM&Aの買収側のメリットです。市場は日々変化するもので、M&Aを通じてその変化に対応しようとする動向も見られています。

デメリット

地方のM&Aの買収側のデメリットとして、買収するための資金が必要な点があげられます。相手の事業を買い取ろうと思うと、多額の資金が必要になってしまう点に注意が必要です。

企業文化の違いで衝突する可能性がある点も、地方のM&Aの買収側のデメリットです。

売却側と買収側の従業員の両者に配慮する姿勢が求められます。

地方のM&Aが行われた成功事例

地方のM&Aを検討している方は、地方のM&Aの成功例から学ぶことが大事です。

地方のM&Aの成功例を見て、自社でも使える戦略を参考にすることでM&Aで成功しやすくなります。

地方のM&Aが行われた成功事例として、以下のものがあげられます。

  • スキットとアヤトのM&A
  • COMBOとテクノモバイルのM&A
  • たから抜型工業と大創のM&A
  • 商栄機材とJRCのM&A
  • 中央自動車工業とABTのM&A
  • ヤマシナと山添製作所のM&A
  • SDアドバイザーズとコウイクスのM&A
  • 小野写真館と桐のかほり 咲楽のM&A

以下で詳細を解説します。

スキットとアヤトのM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、スキットとアヤトのM&Aの事例があげられます。

アヤトがスキットに株式を譲渡する形で、スキットの事業拡大、アヤトの後継者不在問題の解消のためにM&Aが行われました。

M&Aのスキーム

株式譲渡

実施日

2020年8月

取引価額

非公開

M&Aの目的

Web通販事業や商業印刷事業の事業拡大

COMBOとテクノモバイルのM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、COMBOとテクノモバイルのM&Aの事例があげられます。

テクノモバイルはWevシステムやモバイルアプリなどの事業を行っており、地方への事業拡大などを目的としてM&Aを実行しました。

M&Aのスキーム

株式譲渡

実施日

2021年3月

取引価額

非公開

M&Aの目的

Webシステムやモバイルアプリの事業の地方への拡大

たから抜型工業と大創のM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、たから抜型工業と大創のM&Aの事例があげられます。

今回のM&Aは、主に市場拡大というより技術の融合を目的としたM&Aが実施されました。

M&Aのスキーム

資本提携

実施日

2022年10月

取引価額

非公開

M&Aの目的

技術の融合

資本提携に関するお知らせ

商栄機材とJRCのM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、商栄機材とJRCのM&Aの事例があげられます。

このM&Aで商栄機材から社名を「JRC C&M 株式会社」に変更し、姫路工場と加古川工場を本社の向上に集約させました。

M&Aのスキーム

事業売却

実施日

2019年3月

取引価額

非公開

M&Aの目的

社名の変更、事業の連携強化

商栄機材の社名変更および本社・工場移転に関するお知らせ

中央自動車工業とABTのM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、中央自動車工業とABTのM&Aの事例があげられます。

環境の変化に合わせ、ABTネットワークを生かしてシナジー効果を狙ってM&Aを実施しました。

M&Aのスキーム

株式譲渡

実施日

2019年12月

取引価額

非公開

M&Aの目的

新規顧客の獲得、既存顧客に対するシナジー効果

ABTの株式取得による子会社化及び簡易株式交換による完全子会社化に関するお知らせ

ヤマシナと山添製作所のM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、ヤマシナと山添製作所のM&Aの事例があげられます。

ヤマシナの本社工場で行っていた生産拠点の分割や東日本への販路拡大などを目的として、M&Aを実施しました。

M&Aのスキーム

株式譲渡

実施日

2019年2月

取引価額

非公開

M&Aの目的

生産拠点の分割、東日本雄取引先への生産拡大

山添製作所の株式の取得(子会社化)に関するお知らせ

SDアドバイザーズとコウイクスのM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、SDアドバイザーズとコウイクスのM&Aの事例があげられます。

中小企業の事業承継や企業再生、生産性向上などを目的としてM&Aを実施しました。

M&Aのスキーム

資本業務提携

実施日

2020年7月

取引価額

非公開

M&Aの目的

事業承継やグループ成長を目的とした資本業務提携

コウイクスの事業承継及び資本業務提携のお知らせ

小野写真館と桐のかほり 咲楽のM&A

地方のM&Aが行われた成功事例として、小野写真館と桐のかほり咲楽のM&Aの事例があげられます。

写真館としてのサービスから感動体験を生み出す方法の1つとして、旅館運営に挑戦したい考えでM&Aが進められました。

M&Aのスキーム

株式取得

実施日

2020年10月

取引価額

非公開

M&Aの目的

写真サービスの事業の拡大

伊豆河津の隠れ宿「桐のかほり 咲楽」をM&Aで取得

地方でM&Aを行う上での成功させるポイント

地方でM&Aを行う際には、M&Aを成功させるポイントを押さえておく必要があります。M&Aを成功させるポイントを押さえておくと、失敗するリスクを抑えてM&Aを進めることが可能です。

売却側と買収側に分けて、地方でM&Aを成功させるポイントを解説します。

売却側

地方でM&Aを成功させる売却側のポイントとして、強みを作る点があげられます。 

売却側の企業が有利な条件でM&Aを実施するためには、いかに自社の強みをアピールするかという点が重要になってきます。

M&Aの際には自社の強みを見つけ、それを効果的にアピールする方法を考えてみてください。

買収側

地方でM&Aを成功させる買収側のポイントとして、社内規定などの整備を事前に済ませておく点があげられます。

M&A後に社員が混乱しないために、事前に社内規定や社内システムなどの整備を行ってください。

地方でのM&Aは専門家に相談しながらすすめよう

地方でのM&Aは、地元への気持ちなどのさまざまな理由から失敗してしまうケースが多いでしょう。

しかし、地方の中小企業こそM&Aで抱えている問題を解消する必要があります。

問題を効果的に解消できるように、地方でのM&Aは専門家に相談しながら進めましょう。

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